◯ 27番
尾上頼子議員 それでは、2回目ということで質問させていただきます。御答弁をお聞きしました。その内容に不満があるというわけではないのですけれど、私の提案は受け入れてもらっていないと思うので2回目の質問なのですけれど、平和行進のときに市長からいただいたメッセージを私もお聞きして、参加者がざわつくくらい、いいメッセージだったという感じの受け止めがされていたのです。ですから、市長の平和に対する思いというのは十分伝わってくる内容ではあります。今回こういう提案をしたのは、やはり世界の歴史において大きな節目という受け止めが大事だというふうに思ったのです。国連が発足したときの決議第一号も核兵器に関わる決議であったそうであります。それからずっと核軍拡競争があった中で、ようやくここにきて被爆者の訴え、核兵器というのはどんなに非人道的な兵器なのかという訴えが実を結んで、条約の発効というところまでこぎつけたということは、被爆者の方も自分たちが頑張って運動してきてよかった、生きてきてよかったというふうにおっしゃっておりました。そういう節目を迎えたということが大事だというふうに思うのです。ですから、
平和首長会議で公開書簡が公表されましたと、それに本市も参加しているのですというふうに言われますけれども、それはそれで、7,000の多くの都市と共同ということで、もちろんそれはそれでいいのですけれども、やはり市民に向けて、
非核平和都市宣言を行った本市として、この条約をどう受け止めたかということがストレートに市民に伝わる方が私はいいと思うのです。ですからこの提案をしているわけなのですけれども、この提案を受け入れてもらえないという背景に何があるのかというふうに思うのですけれども、やはり日本政府への忖度なのかと少し思ったりもするのですけれど、私は、核兵器の問題はそういう政治的立場がどうのこうのという問題ではなくて、やはり被爆者の苦しみ、その訴えを受け止めた市民社会と国際社会が大きく動き出したという節目をやはりきちんと受け止めて、態度に表すというか、行動に出るというか、そういうことがやはり大事だというふうに思うのですけれども、そういう点で国への忖度ではないということとか、節目というのをどう受け止めておられるかということについてお聞きしたいと思います。
◯ 議長(
坂井芳浩議長)
宮崎総務部長。
〔総務部長 宮崎高行君登壇〕
◯ 総務部長(宮崎高行君) 尾上議員の平和行政についての2回目の御質問にお答えいたします。この
核兵器条約発効の日が大きな節目になるのではないかということと、国への忖度があるのではないかということでございますが、これまで山口市として行ってきた取組として、そういう
核兵器禁止条約のメッセージについては
平和首長会議というものの中で、その一員としてメッセージを出しているというところがございます。メッセージである公開書簡を発出し、その条約の発効は報道等においても大きく取り上げられておりまして、これを契機として核兵器廃絶に向けた取組が加速することを期待しているところでございます。今後とも、
平和首長会議加盟都市等と連携しながら取り組んでまいりたいということでございます。そして、写真展の開催等の件につきましては、やはり行政主導の形ではなく、市民の皆様が主体となることで、より多面的で柔軟性のある活動を行うことができ、それを行政が後押しすることで、さらに大きく取組が広がっていくのではないかと考えておりまして、これまでも各種団体から展示についての相談や要望がありました際には、展示場所の提供や後援を行うなどいたしてまいったところでございます。今後ともそうした要望が寄せられた場合には協力してまいりたいと考えているところでございます。いずれにいたしましても、平和活動は継続して行っていくことが大切であり、このたびの
核兵器禁止条約発効のタイミングのみにとらわれることなく、今後も市民の皆様と共に考えながら、必要に応じ時宜を見て取り組んでまいりたいと考えております。
◯ 議長(
坂井芳浩議長)
尾上頼子議員。
〔27番
尾上頼子議員登壇〕
◯ 27番
尾上頼子議員 いまの答弁では3回目をやりたいところですけれど、次に進みたいのですけれど、節目ということについて答弁が少し不十分だったという思いは持っております。
大項目イに移りたいと思います。
新型コロナウイルス感染症の
PCR検査についてであります。第3波に入ったとされます
新型コロナウイルス感染は、本市でもクラスターが発生し、連日感染者の報告がされています。このような状況の下で、医療体制、地域経済に与える影響が心配されるところであります。安心して経済活動ができるためにも、医療体制を守るためにも、感染拡大を防ぐための無症状者の発見と保護が大事だと思います。日本医師会の
中川俊男会長は、万全の
感染防止対策が最強の経済対策と言われております。そこで質問でありますが、保育、教育、医療、介護現場を優先に、まずは
社会的検査を早急にやるべきだと思います。国に対し求めることはもちろん、本市として体制を整え実行すべきと思いますがどうでしょうか。
◯ 議長(
坂井芳浩議長)
中川健康福祉部長。
〔
健康福祉部長 中川 孝君登壇〕
◯ 健康福祉部長(中川 孝君) 私からは、
新型コロナウイルス感染症の
PCR検査についての御質問にお答えします。国におかれましては本年8月、今後の
季節性インフルエンザの流行期には発熱患者が大幅に増え、検査や医療の需要が急増することが見込まれるため、検査体制の抜本的な拡充や
医療提供体制の確保などの
新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組の方針を取りまとめられております。具体的に申し上げますと、検査体制の抜本的な拡充につきましては、都道府県に対しまして、地域における外来診療の
医療提供体制と
検体採取体制を踏まえて早期に新たな
検査体制整備計画を策定するよう要請するほか、
感染拡大地域やクラスターが発生している地域におきましては、その期間、医療機関や
高齢者施設等に勤務する者や入院・入所者全員を対象に一斉・定期的な検査を実施することなどが示されているところでございます。また、
医療提供体制の確保につきましては、発熱患者が多く発生した場合においても帰国者・
接触者相談センターを介することなく、
かかりつけ医等の地域で身近な医療機関等に相談・受診をし、必要に応じて検査を受けられる体制を整備することとされております。県におかれましては、この方針に基づきまして、新たな
検査体制整備計画を策定し、発熱患者等の診療、または検査を行う医療機関を診療・
検査医療機関として指定されたところでございまして、本市の休日・
夜間急病診療所も含まれております。また、これらの診療・
検査医療機関と医療圏毎の地域外来・
検査センターとを組み合わせて、
かかりつけ医等の身近な医療機関における診療・検査体制の整備を進められ、本年11月にはその体制を確保されたところでございます。本市におきましては、発熱患者が迅速かつスムーズに検査を受けられますよう県の委託を受け、山口市休日・
夜間急病診療所の敷地内に、地域外来・
検査センターを9月29日から開設いたしており、山口市医師会、吉南医師会の御協力をいただきながら
ドライブスルー方式により
PCR検査のための検体を採取しているところでございますが、運営日につきましては、現在の週2日から最大週5日まで対応できますよう拡充いたしたいと考えております。また、市民の皆様からの受診に関する御相談に対して、最寄りの診療・
検査医療機関を御案内するため、11月1日から
市保健センター内に山口市
受診相談ダイヤルを開設いたしたところでございます。さらには、県の
検査体制整備計画との整合を図る中で、
新型コロナウイルス感染症に感染した場合の
重症化リスクが高い65歳以上の方や、基礎疾患を有する方が発熱等の症状がない場合でも検査を受けられる体制を整備いたしたいと考えております。これは、国の制度を活用し、検査費用の一部を助成いたす事業でございまして、令和3年1月から開始したいと考えております。こうした中、
民間検査機関であります山口県
予防保健協会が山口大学と連携され、
PCR検査等を本年10月から開始されておりまして、毎週水曜日、企業や団体から依頼があった方を対象に自費診療で実施されており、11月からは対象を県内在住の方や県内にゆかりのある方といった、個人向けに拡充されたところでございます。今後、年末年始や
季節性インフルエンザと
新型コロナウイルス感染症の同時流行の時期を迎えてまいります中、本市といたしましては、こうした検査体制の拡充や
医療提供体制の確保を、県との緊密な連携を図りつつ引き続き進めてまいりますとともに、地域外来・
検査センター及び
受診相談ダイヤルの適切な運営によりまして、市民の皆様を必要とされる医療につなげてまいりたいと考えております。また、議員御提案のPCR等の検査体制の拡充につきましては、今後とも国や県の動向をしっかり注視してまいる所存でございます。
◯ 議長(
坂井芳浩議長)
尾上頼子議員。
〔27番
尾上頼子議員登壇〕
◯ 27番
尾上頼子議員 国の動向を注視するという範囲にとどまった答弁だったと思うのです。今、国会は終わったそうでありますけれども、私は、コロナ対策において現政権は無為無策だというふうに思っているのです。政府の
コロナ対策分科会も
GoToトラベルの一時停止を提言し、多くの専門家も感染拡大の契機になったと指摘したにもかかわらず、事業に固執することになっています。こうした事業を続ければ、政府が本気で感染を抑える勝負の3週間だと言っても、国民には全く伝わらないなというふうな気がしております。12月6日に共同通信の世論調査でもそのことがはっきり表れておりまして、内閣支持率は50.3%でありました。前月からは12.7ポイント減っているそうです。コロナ対策を評価しないが国民の55.5%、感染防止と経済活動のどちらが優先されるべきかとの問いには、どちらかと言えばというのも含めて感染防止を挙げたのは76.2%ということになっているそうであります。こうした中で、私は、国の動向を注視することにこだわって、国に与えられた条件の範囲内だけでは、市民の命と暮らしは守れないという思いがあるからこういう提案をしているわけであります。
PCR検査拡充に後ろ向きだった政府も、この間、
社会的検査の必要性とか
感染拡大地域を面的に検査する必要性も認めざるを得なくなっているわけですけれども、その検査費用の半分はまだ依然として自治体持ちということで、根本的には解決に至っておりませんが、全国的には高齢者施設などの
社会的検査、定期検査に乗り出した自治体も広がっています。東京の世田谷区、千代田区、江戸川区、そして神戸市や福岡市、北九州市、沖縄県、広島県、北海道函館市、静岡県三島市などで
社会的検査が広がっています。自治体は自治体として住民の命と暮らしを守るということで、そういう努力をしているわけなのです。そうした声が実際に国を動かして半分費用を持ちましょうというところまで国も譲歩してきたというか、認識を変えざるを得なくなったということだと思うのです。そういう意味でいえば、我が山口市においても65歳以上の無症状者というのは、これから自費で7,000円を払えば受けられるようになる、年が明けたらそうなるということではありますけれども、私は、高齢者施設とか、医療機関とか、保育・教育の現場での、全体を網羅した定期的な検査で安心を得ることと、そこで無症状の感染者がいた場合、広がる可能性があるのですからそれを発見して保護するということがクラスターを発生させないという点ではとても大事なことだと、社会活動を止めない大事なことだと思うのですけれども、他の自治体でやっているということも見て、その
社会的検査の必要性についてはどのようにお考えでしょうか。
◯ 議長(
坂井芳浩議長)
中川健康福祉部長。
〔
健康福祉部長 中川 孝君登壇〕
◯ 健康福祉部長(中川 孝君)
新型コロナウイルス感染症の
PCR検査についての再度の御質問にお答えいたします。御提案の無症状者の定期的な
社会的検査、これについては県レベルというところで、あるいは特別区というところで実施されているというのは承知しております。しかしながら、現時点において国あるいは山口県においては、その方針が示されておりません。本市として実施するというのは困難なことだと考えております。県におかれまして、先ほども御答弁いたしました診療・
検査医療機関と地域外来・
検査センターとを組み合わせた、
かかりつけ医等の身近な医療機関における体制整備というのが始まっております。これは医師会の皆様、民間の山口県
予防保健協会、そういった関係者の方々とこれまで協議する中で本市においても築き上げたというか体制を整えたところであります。任意検査と行政検査というのがありますが、行政検査としては先ほど申し上げましたとおり、
感染拡大地域やクラスターが発生しているという場合には、その期間、全員の一斉的な、定期的な検査を実施するということになっております。今後とも国、県の動向を注視して対応してまいりたいと思っております。まずは、年末年始あるいは同時流行に備えた本市にできること、これをしっかり対応してまいりたいと考えております。
◯ 議長(
坂井芳浩議長)
尾上頼子議員。
〔27番
尾上頼子議員登壇〕
◯ 27番
尾上頼子議員 世田谷区で
社会的検査をやっていますけれども、その中で、ある介護施設で百数十例ほど検査をして数名の陽性者が発見できたということでありました。私は、やはり介護の現場がストップしたら大変なことになると思いますし、北海道では、旭川で医療機関が感染の広がりで医療機関として使えなくなったというかストップしてしまって大変なことになっているというお話もお聞きしております。県もそういう体制にないから本市では難しいと言われるのは、体制の問題とお金の問題ということだろうと思うのですけれども、私は、市民の命と健康を守るために、万全の態勢を取るためには今何が必要かということであれば、
社会的検査をやるべきだと思うのです。そのことについては、今、その必要性をどう考えているかということについては、正面からのお答えはなかったというふうに思うのですけれども、この
社会的検査が必要だということについて、国会では繰り返し議論されているのですけれど、なかなかマスコミを通じて報道もないのでぴんときていない方も多いのかもしれませんけれども、全国ではそういう広がりも、やむにやまれずやることに決めたということだろうというふうに思うのですけれども、私は、今の市民の受け止めという点では、政府のやり方では不安だということが広がっているというふうに思うのです。その不安がある中では、絶対に経済は回っていかないし、安心できるまちなのだということが大事だというふうに思うのです。そういう点では、私は
PCR検査、
社会的検査、面的に定期的にやるということが私たちの暮らしを守ることにつながると思うのですけれども、そういうことで必要性を訴えているのですけれど、この検査が必要だという立場に立てば、立場に立たないから、県が提案しないから
いろいろ考えも及ばないけれども、検査が必要だということになればいろいろな知恵が出てくると思うのです。いろいろな人の協力も得られるというふうに思うのですけれども、そういう点では、何がこの
社会的検査をやるということについての障害になっているのかという点と、その必要性というところについてもう一度御答弁をお願いしたいと思います。
◯ 議長(
坂井芳浩議長)
中川健康福祉部長。
〔
健康福祉部長 中川 孝君登壇〕
◯ 健康福祉部長(中川 孝君)
新型コロナウイルス感染症の
PCR検査についての再度の御質問にお答えいたします。
PCR検査の
社会的検査の意義についてでございますが、先ほど申し上げましたとおり、国あるいは山口県の検査方針の体制に沿って山口県内においては対応をとられております。本市といたしましても、検査体制の拡充につきましては、その一翼を担うというか、山口県の中でこの検査体制をしっかりやっていくということが大切だと考えております。そうしたことから、医療機関の皆様、検査機関の皆様とタッグを組んでやっているところでございます。いろいろな御意見等は国でも議論されているのは承知しております。対応していくには、やはり本年8月に国が発せられました
新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組、この方針に基づいた検査体制の拡充、
医療提供体制の確保、それとワクチンの接種の体制確保、こういったところが、市町村が担う事務といいますか責務になっております。そのことについて、県とあるいは医師会としっかりと連携をとってしっかりやっていく、これからもそのような考えで取り組んでまいりたいと考えております。
◯ 議長(
坂井芳浩議長)
尾上頼子議員。
〔27番
尾上頼子議員登壇〕
◯ 27番
尾上頼子議員 ワクチンのことまで持ち出されたら、また言わないといけないことになるのですけれども、3回目は終わりましたので次の機会にということにしたいと思います。私はワクチンを100%当てにしてはいけないと思いますので、社会的・定期検査が必要だということであります。
大項目のウに移らせていただきます。11月16日に市議会の議長宛に、山口建築設計フォーラム協同組合から新本庁舎建設についての要望書が出されております。この中では、市の防災ガイドブックの12ページに掲載された揺れやすさマップにおいて、大原湖活断層系山口盆地北西縁断層が現山口市役所山口総合支所の直下にあり、と表示されているにもかかわらず、市では、山口大学の山口市新本庁舎整備に係る断層調査報告書を引用し、整備区域には第四紀に繰り返し活動した証拠を有する活断層は認められない、との答弁をしておりまして、これは互いに矛盾すると指摘された上で、基礎設計のために行っている地盤調査への立会いと当該調査報告書の情報公開、構造地質学の専門家の意見聴取及び敷地内活断層の有無を明確にし、配置計画を進めることを要望されています。また、徳島県南海トラフ巨大地震等に係る震災に強い社会づくり条例を参考にされるよう求められています。建築の専門家から寄せられたこれらの要望に対し、市はどのようにお考えかお聞かせください。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 田中総務部本庁舎整備推進担当部長。
〔総務部本庁舎整備推進担当部長 田中広興君登壇〕
◯ 総務部本庁舎整備推進担当部長(田中広興君) 新本庁舎建設についての御質問にお答えいたします。まず、山口市議会議長宛に提出されました要望書におきまして、山口市防災ガイドブックの記載とこれまで本市が本議会で行った答弁内容が矛盾するとの御指摘についてございます。山口市防災ガイドブックの12ページに掲載いたしております揺れやすさマップは、活断層に起因する地震での揺れやすさをお示したもので、活断層の位置そのものを表示しているものではございません。また、同ガイドブックの11ページには、本市に大きな影響を及ぼすおそれのある活断層の位置を記載しております。これらは、国の地震調査研究推進本部が主要活断層として公表されているものでございまして、同本部のウェブサイトでも御確認いただけますように、その推定される位置は現本庁舎の直下ではございません。したがいまして、揺れやすさマップと本市がこれまで御答弁してまいった内容は互いに矛盾するものではないと考えております。次に、地盤調査に関しまして、現地での立会いと同調査報告書の情報公開についての御要望でございます。地盤調査に関しましては、既に現地での掘削調査を終え、現在はそのデータや資料等に基づき報告書の作成を進めておられることから、現地での立会いにつきましては困難でございます。また、調査報告書の情報公開につきましては、今後調査業務が終了し委託事業者から調査報告書を受領した後、山口市情報公開条例等に定める手続きにより適切に対応したいと考えております。次に、構造地質学の専門家の意見聴取に関する御要望でございます。新本庁舎整備に伴う断層調査に関しましては、高度な専門知識を有する研究機関でございます山口大学に研究委託を行いまして、昨年4月に山口市新庁舎整備に係る断層調査報告書の提出をいただいております。この内容は、山口大学において慎重かつ詳細に調査された成果であると受け止めており、今後本市から特定の個人に対して意見を求める考えはございません。次に、敷地内活断層の有無を明確にし配置計画を進めるべきとの御要望についてでございます。先ほどの山口大学による断層調査は、新本庁舎の整備区域内の活断層の有無を明確にいたすために実施したものでございまして、その報告書の中では、整備区域には第四紀に繰り返し活動した証拠を有する活断層は認められないと記述されております。本市といたしましては、この内容は、山口大学が慎重かつ詳細に調査された成果であると受け止めており、整備区域内に活断層は存在しないとの認識の下、配置計画等の設計作業を進めてまいったところでございます。次に、徳島県南海トラフ巨大地震等に係る震災に強い社会づくり条例を参考にされたいとの御要望でございます。御案内のとおり、この条例は徳島県が東日本大震災の教訓を踏まえ、県民一丸となって震災に強い社会づくりを推進する上で共有すべき基本理念を定めるとともに、県民、自主防災組織、事業者などの取組や地震・津波被害を予防する土地利用に関する規制が盛り込まれております。御要望は、仮に活断層が整備区域直下に存在するならば、その上に建築物を建てるべきではないという趣旨と受け止めておりますが、本市といたしましては先ほども申し上げましたとおり、整備区域内に活断層は存在しないものと認識いたしているところでございます。こうした考えに立ちながらも、地震はいつどこで発生するか分からないとの前提の下、いかなる地震動が発生した際にあっても、新本庁舎は発災直後から継続使用できることが必須であると認識しております。こうしたことから、新本庁舎の耐震性能につきましては、国土交通省の官庁施設の総合耐震・対津波計画基準における構造体の耐震安全性の分類をI類といたし、震度6強から震度7程度の大地震動が発生した場合に必要とされる構造耐力の1.5倍を確保することといたしております。これにより来庁者や職員の人命確保に加え、震災後においても災害対策活動の司令塔として、その役割をしっかりと果たしていくことが可能となるものと考えております。
御理解を賜りたいと存じます。
◯ 議長(
坂井芳浩議長)
尾上頼子議員。
〔27番
尾上頼子議員登壇〕
◯ 27番
尾上頼子議員 2回目の質問ということでお願いしたいと思います。私は、この本会議でこの要望が出たことを取り上げると決めたのは、専門家からこういう要望が出されたということはとても重大だと思ったのです。この建築家の皆さんは、市の公共事業の入札にも参加されるでありましょう。だから、市の方針に異議を唱えるということは相当の御覚悟と専門家としての矜持を持って、勇気を出されてこういうふうに言われたというふうに思ったので重大だと思ったのです。その専門家の周りにもいろいろな専門家がおられて、新本庁舎建設──この活断層の問題において、その場面場面でいろいろな話が出てきたのだろうなということが想像されたわけなのです。ですから、こういう要望があったことを簡単には無視できないというか、きちんと受け止めないといけないと思ってこの本会議で質問することにしたのですけれども。地質学の第一人者といわれる方がおられて、その方は活断層があることが大きく疑われるという自分の学者としての矜持を持って訴えられています。一方では、あの最高学術機関の山口大学の結論というのが一緒になっていないということでありまして、それはもう学術論争だからということだけでは、市民は一体どうなのだろうと不安になるわけであります。こうした要望書も寄せられまして、そうなると山口大学の結論を信じて進めろというふうには堂々と私も言えないですし、白黒はっきりさせたらいいではないかという思いもあるわけなのです。この建築家の皆さんやその学者の先生も、市が許せば掘って確かめてみるということもしたいと思っておられるのではないかというふうにも思いますので、市がお金は出さないということであれば、寄附を集めてでも確かめられるのではないのかとも思うのですけれども、白黒はっきりさせる、専門家の方に掘削して確かめてもらったらどうかと思うのですけれども、その点についてはどうでしょうか。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 田中総務部本庁舎整備推進担当部長。
〔総務部本庁舎整備推進担当部長 田中広興君登壇〕
◯ 総務部本庁舎整備推進担当部長(田中広興君) 尾上議員の2回目の質問にお答えいたします。
このたびの山口大学に委託を行った調査は、音波による探査試験を実際に現地で行ったものです。対する構造地質学の専門家の方の意見といいますのは、これまで調査された敷地以外の──山口の別の場所から想定された位置です。あくまで現地でしっかり音波探査を行った結果の方を私どもはその結果として受け止めているものです。実際に掘る云々の話でございますが、今現在、建築物の基礎の設計をするために建物の軸力を受ける地盤の強度を調査している──地質調査業務等をしているのですが、実際にこの敷地を掘るということになると、その調査した地盤が乱れることにもなり、実際、その件についてはちょっと不可能ではないかと考えているところでございます。
以上です。
◯ 議長(
坂井芳浩議長)
尾上頼子議員。
〔27番
尾上頼子議員登壇〕
◯ 27番
尾上頼子議員 また来週にでも、建築家の皆さんは市長にお会いされるということをお聞きいたしましたので、そこでよくお話を聞いていただきたいと思います。
大項目エに移ります。各種タクシー利用券制度についてお尋ねいたします。おでかけサポートタクシー料金助成事業は、令和元年度2,830人が利用されています。そのうち25%の707人の方が40枚の利用券を全て使われています。6か月以内に使用した方は40.6%、9か月以内で使用した人は64%です。これらを使い切った方々はいろいろな事情があると思います。その後は、タクシーを利用しなくてもいいというわけではないと思うわけであります。さらに、グループタクシー利用促進事業でも利用者608人のうち、58人の方が60枚全部利用されています。福祉タクシー料金助成事業については、今年度から集計を始めたということで、今、利用状況が示せる段階にはないということでありますが、早めに全て使用される方も、他の事業と同様におられると推察されます。こうしたことから、提供枚数をもっと増やすよう提案いたしますが、市としての見解はいかがでしょうか。
◯ 議長(
坂井芳浩議長)
中川健康福祉部長。
〔
健康福祉部長 中川 孝君登壇〕
◯ 健康福祉部長(中川 孝君) 私からは、各種タクシー利用券制度についてのお尋ねのうち、数点についてお答えいたします。まず、おでかけサポートタクシー料金助成事業につきましては、介護保険要介護認定者を対象に、経済的負担の軽減による外出支援事業として平成22年度から開始いたしたものでございます。平成24年度からは介護保険要支援認定者についても対象者として拡大し、さらに平成28年10月からは、介護予防・日常生活支援総合事業の通所型・訪問型サービス利用者についても対象者として拡大いたしまして事業の充実を図ってきたところでございます。利用券つきましては、申請者に対し1枚300円の利用券を年間40枚交付しているところでございまして、令和元年度には2,830人の方に御利用いただいているところでございます。また、第九次山口市高齢者保健福祉計画策定のため、令和2年3月に実施いたしました、すこやか長寿アンケートにおいては、特に力を入れてほしい高齢者施策として、バスやタクシーなどを利用して外出できる移動手段の確保を選択された高齢者が48%と最も多く、本制度は、高齢者の買い物や通院等の日常生活に不可欠な外出時の移動手段の確保にとって、重要度が高い施策となっているものと認識いたしております。おでかけサポート利用券の交付枚数の増加につきましては、令和元年度の利用状況を分析しますと、利用者のうち25%に当たる707人の方が利用券40枚全てを使用されており、使用された期間は6か月以内が約4割、9か月以内が約6割となっております。利用券40枚を全て使用されている方が25%おられる反面、全てを使用されていない方が75%おられることから、利用率の向上が今後の課題と考えております。本制度をさらに多くの方に有効に御利用いただくために、今後利用券の交付時に利用実態の調査を実施するなど、外出支援に関するサービス提供の在り方につきまして、どういった形であれば利便性が高まり、公平性が保たれるのか、そういった検討をしてまいりたいと考えております。次に、福祉タクシー料金助成事業につきましては、障がいのある方の社会活動の拡大等を図り、福祉の向上に資することを目的として、おでかけサポートタクシー料金助成事業と同様、申請者に対しまして1枚300円の利用券40枚を交付しているところでございます。年間に交付する枚数は障害者手帳の等級により異なりまして、身体障害者手帳1級から3級、療育手帳A、精神障害者保健福祉手帳1級の方に80枚、身体障害者手帳4級から6級、療育手帳B、精神障害者保健福祉手帳2級、3級の方には40枚を交付いたしているとこでございます。さらには、腎臓機能障害で人工透析のために通院されている方のうち、自動車税、軽自動車税の減免を受けていない方につきましては、通院回数などに応じて40枚から400枚を追加で交付いたしております。令和元年におきましては、全体で22万3,240枚を交付しており、そのうち利用枚数が9万8,592枚と利用率は44.2%となっているところでございます。個々の利用状況につきましては、交付枚数が一律ではないことなどもありまして現時点では把握できていないところでございます。なお、今年度から利用状況を把握するための集計を進めておりまして、今後、障がいの種別による利用傾向や年間を通じた個別の利用状況の分析のほか、全体の利用率も踏まえまして、交付枚数等について検討してまいりたいと考えております。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 藤本都市整備部長。
〔都市整備部長 藤本浩充君登壇〕
◯ 都市整備部長(藤本浩充君) 私からは、グループタクシー利用促進事業についてお答えいたします。本事業につきましては、駅やバス停などから遠く、公共交通の利用が不便な地域にお住まいの高齢者の方を対象にタクシー利用券を交付いたしまして、タクシーの共同利用を促すことで日常生活の利便性の向上や社会活動の拡大を図ることを目的といたしております。タクシー利用券の交付につきましては、御自宅から最寄りの駅やバス停までの距離に応じ、300円、500円、700円の利用券を年間60枚交付いたしております。令和元年度の実績によりますと、タクシー利用券を交付した1,260人のうち、1年間で1枚以上利用された方は681人となっております。そのうち、年度末までに60枚全てを利用された方が58人となっておりまして、利用者数全体の8.5%でございます。また、全てを利用された方につきましても、年度末の2月、3月に使い切られた方が多く、おおむね計画的に御利用いただいているものと認識いたしております。こうしたことから、現時点ではすぐに見直しが必要とは考えていないところではございますが、今後とも利用者の方の声をお伺いしながら、山口市公共交通委員会において必要に応じて協議・検討してまいりたいと考えております。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 以上で、
尾上頼子議員の一般質問並びに質疑が終わりました。
議場内の換気のため、暫時休憩いたします。
午前10時56分休憩
────────────・────・────────────
午前11時04分再開
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 休憩前に引き続き会議を開きます。
26番、大田たける議員。
〔26番 大田たける議員登壇〕
◯ 26番 大田たける議員 日本共産党の大田たけるです。通告に従い質問いたします。9月議会では予算を組み立てる考え方について、コロナ後には前の社会に戻るのではなく、よりよい未来をつくりたいと願う多くの皆さんの、
新型コロナウイルス感染症危機の共通体験を踏まえ、住民が生きていくための必要不可欠な7つの視点を提案いたしました。今回は、その7つの視点から具体的にお伺いします。
大項目ア、危機にゆとりを持って対応できる強い地域経済づくりについてお伺いします。中項目でいえば、呼び込み型の開発からの転換です。
新型コロナウイルス感染症の教訓は、地域外から人や物の流れが止まると地域の経済が壊滅的な影響を受けるということであります。市民生活において、命に関わる必要不可欠なものは可能な限り地域の中でつくっていくことが求められます。地元の中小事業者、フリーランスを含む個人事業者、農林漁業を守るため、山口市ふるさと産業振興条例の理念でもある経済の地域内循環を基本として、県外の大手企業による外部からの呼び込み型の大型開発ではなく、あくまでプラスアルファで、身の丈に合った規模の開発を地元事業者が担う形へと方向転換することで、感染症や災害の地域経済への影響を最小限に抑えることができるのではないかと考えております。こうした視点で、昨今のコロナ禍やトビイロウンカによる農家への甚大な被害等に対しても地域内の経済循環につながる最大限の支援を行うことにより、危機にゆとりを持って対応できる強い地域経済づくりを進める必要があると考え数点お伺いします。まず、飲食店への最大30万円の家賃補助金、小売業・飲食サービス業等への給付金、宿泊事業者への補助金の再度の給付が必要と考えますがいかがでしょうか。市内でのクラスターの確認やコロナ禍の第3波の影響でキャンセルも相次ぎ、忘年会や新年会を控える傾向もあり、せっかく上向いてきた経済が成り立たなくなる状況があると考え、お伺いいたします。次に、市内事業者対象の新しい生活様式導入応援補助金の再度の給付を行うとともに、将来的には、従前から提案しております店舗リニューアル助成制度として、事業者への改装費用補助の制度化が望まれますがいかがでしょうか。これは事業費も大きく、新たな公共事業として発展する可能性のあるものと考えお伺いします。去る11月20日に、日本共産党の山口市議団として稲につく害虫のトビイロウンカ等の被害等に関する支援の要望書を、市長、経済産業部長宛てに提出いたしました。農業共済組合では、引き受け方式にもよりますけれども、一筆方式の場合、耕地ごとに基準収穫量の3割を超える被害が生じたときに共済金を支払うことになっています。例えば、4割の被害があった場合、その1割しか支払いの対象とならないため、そもそも申請を諦める農家の皆さんも相当数見込まれます。このため、被害の実態を早々に把握することも困難であり、声にならない農家の甚大な被害も当然考えられます。ただでさえ、とりわけ家族経営ですとか小規模経営農家は専業では産業として成り立たず、担い手もおらず承継問題が深刻であり、来年農業を続けていこうという意欲さえ削がれてしまう、やめてしまうということが懸念されます。山口市として、基幹産業であり多面的な機能を有する農業を守り、農家の意欲を保つ支援が最大限求められるものであり、対象にならない部分の支援を要望するものでありました。市の支援策について考えをお伺いします。公共施設の更新、改修、インフラ整備改修、河川しゅんせつや改良などの維持管理や災害対策を地元事業者で担う形で進めることが求められます。これらは、地元事業者の活躍の場でもあると考えます。これらは地域内経済の循環につながる考えであり、例えば、新山口駅の大型開発ですとか湯田温泉の多世代交流・健康増進拠点施設をはじめとした、外需頼み呼び込み型の開発から転換し、身の丈に合った規模での開発を地元事業者が担うことが求められると思いますが、市の考えをお伺いします。この間、新型コロナの影響でアルバイトがなくなって生活に困窮する学生が増えております。中途退学する学生もあります。そんな学生を支援しようと日本民主青年同盟──通称民青が、全国各地で大学生や専門学生に物資──食料ですとか物資の支援を行っています。山口市でも、山大生宛てに第1回目が行われて、去る10月末には第2回目となる県大生への支援活動も行われたわけです。私も、同じ会派の尾上議員もお手伝いに参加させていただきました。30人を超える大学生が、食品ですとか日用品を求めて集まってまいりまして、果物や野菜、ティッシュが助かるという声も多くありました。その大学生からお聞きしますと、実習先から不特定多数の接客をするアルバイトは駄目だと言われたということでありまして、生活費を稼ぐということもままならない状況があるのです。地域の住民を守る、そのための市の役割を果たす予算編成となるようお伺いし、1回目の質問といたします。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 村田経済産業部長。
〔経済産業部長 村田尚士君登壇〕
◯ 経済産業部長(村田尚士君) 大田議員の危機にゆとりを持って対応できる強い地域経済づくりについてお答えいたします。私からは、呼び込み型の開発からの転換についてのうち、まず、飲食店への家賃補助金や小売業・飲食・サービス業等への給付金、宿泊事業者への補助金についてお答えいたします。御案内のとおり、
新型コロナウイルス感染症に伴う経済対策に関しましては、国や県の経済対策に対応しつつ、
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用いしたしながら、市内事業者等の状況に応じた本市独自の支援策をスピード感を持って実施してまいったところでございます。具体的に申し上げますと、事業継続に向けた緊急支援といたしまして、宿泊施設への一律30万円の給付をはじめ、飲食事業者への一店舗最大30万円の家賃補助や、飲食業に加え小売業・生活関連サービス業等を対象とした一律20万円の給付金制度等を創設いたし取り組んでまいったところでございます。また、市内の様々な事業者の皆様が、新しい生活様式に対応するための設備投資や業態変更など、幅広い経費を支援いたします新しい生活様式導入応援補助金制度を実施いたしますとともに、「エール!やまぐち」応援チケットや、やまぐちプレミアム宿泊券、山口市安心快適住まいる助成事業等の取組により、市内消費の喚起を図ってまいったところでございます。加えて、現在実施しております「エール!やまぐち」プレミアム共通商品券事業におきましては、発行総額26億円以上の共通商品券の使用を通じまして、特に事業者の資金需要が高まります年末年始における経済循環に大きな効果があるものと見込んでいるところでございます。こうした中、今後の感染拡大の状況に応じまして、例えば、再び全国に緊急事態宣言が発令された場合などは、本市におきましても多くの事業者において、事業の継続が危ぶまれる場合も予測されますことから、緊急的な給付や補助等の支援が必要と判断される場合において、速やかに対応できますよう、対策に必要となります国の臨時交付金の追加を想定いたします中で、本市独自の支援制度等を検討してまいりたいと考えております。次に、市内事業者対象の新しい生活様式導入応援補助金の再度の給付と、店舗リニューアル助成制度としての将来的な制度化についてでございます。御案内のとおり、新しい生活様式導入応援補助金につきましては、感染拡大防止と社会経済活動の両立に向けまして、政府専門家会議で提唱されました新しい生活様式や各業種で定めるガイドラインへの対応のほか、新たな業態へチャレンジする事業を支援いたすものでございまして、本年7月中旬から9月末までの申請期間におきまして179件の事業を認定いたしております。こうした取組によりまして、市内事業者の感染拡大防止への意識の向上が図られますとともに、ウィズコロナに対応する環境整備を促進され、併せて施工や購入の発注先を市内事業者に限定いたしておりますことから、市内需要の喚起につながるものと考えております。議員お尋ねの新しい生活様式導入応援補助金制度の再度の実施についてでございますが、今後、本事業の実績、関係団体等からの聞き取り等による取組の有効性やさらなる需要の有無を検証いたしまして、感染拡大への状況等を踏まえながら、必要に応じて対応してまいりたいと考えております。また、事業者への経常的な店舗改装支援としての──いわゆる店舗リニューアル助成制度につきましては、民間事業者の経営に対する個別・直接的な支援となりますことから、コロナ対策を目的といたしました新しい生活様式導入応援補助金や、個人の住環境改善と市内消費喚起、受注機会の拡大を目的といたします安心快適住まいる助成事業と比較をいたしまして、慎重に検討してまいる必要があるものと考えております。こうしたことから、今後も当面は中心商店街における空き店舗の解消や湯田温泉における回遊性の向上、大内文化ゾーンの歴史空間の再生等、総合計画で定めるまちづくりの方向性に照らしまして、エリアを特定した店舗改修支援を軸に取り組んでまいる所存でございます。次に、トビイロウンカ等の被害に対する支援策についてお答えいたします。御案内のとおり、本市の令和2年産の水稲栽培につきましてはトビイロウンカが過去に例のない規模で大量発生いたしまして、阿東地域や徳地地域など、本市の北部地域を中心に坪枯れや全面枯れといった大きな被害が生じたものでございます。加えて、南部地域におきましては、9月に発生いたしました台風9号及び10号による影響を受けまして、広範囲にわたって農産物への風害や塩害といった被害が生じ、トビイロウンカの被害と重なり市内全域で大きな損失となったところでございます。こうしたことから10月30日に中国四国農政局が発表されました山口県内の作況指数は全国で最も低い73、とりわけ本市を含む県西部につきましては67の不良と、統計を取り始めた1958年以降、過去最低の予測とされております。また、10アール当たりの予想収穫量も365キログラムとこれまでにない不作となっております。こうした影響を受けまして、本市の水稲生産農家の皆様におかれましては、農業所得が大きく減少したところでございまして、農家の皆様の生産意欲の減退が危惧されているところでございます。こうしたことから、本市といたしましては農家の皆様の生産意欲の向上と今後の経営の継続を下支えすることを目的に、被害を受けられました農家の皆様に対しましては、令和2年産の水稲作付面積に応じて10アール当たり1,000円の支援金を給付する水稲生産農業者支援給付金制度を創設いたし、補正予算として本議会に議案を提出いたしたところでございます。また、県におかれましては、次年度作付に要する種子の購入経費を助成するやまぐち米次年度生産応援事業を創設することとされており、現在、本市おきましても、こうした県の施策と一体となった対応も検討しているところでございます。いずれにいたしましても、農家の皆様が生産意欲を持って農業経営が継続されますよう、県やJAとも連携をしながら、引き続き効果的な支援策を講じてまいりたいと考えております。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 田中総合政策部長。
〔総合政策部長 田中和人君登壇〕
◯ 総合政策部長(田中和人君) 私からは、地域内経済循環への転換についてお答えをいたします。御案内のとおり、今後の本格的な人口減少時代や少子高齢社会の進展などに対応いたすため、本市では第二次山口市総合計画における目指すべき将来都市像に「豊かな暮らし 交流と創造のまち 山口」を掲げ、その実現に向けた都市政策の柱に「広域県央中核都市づくり」と「個性と安心の21地域づくり」を位置づけているところでございます。そして、これらのプロジェクト展開を通じまして、山口・小郡の両都市核、そして市内21地域においてそれぞれの特性や役割に応じた諸機能を集積し、それらをネットワーク化いたします重層的コンパクトシティを目指しているところでございます。こうした取組により、本市のあらゆる地域において、日常的な生活に必要な諸機能から高次の都市機能までが将来にわたって享受でき、同時に多様な個性を有する各地域が主体的に連携し、多様なひと・モノ・資金・情報が活発に交流することで、さらなる価値創造や経済循環を図る好影響・好循環の対流型のまちづくりを進め、本市全体の発展を実現してまいることといたしております。そして、こうした本市のまちづくりの方向性につきましては、第二次山口市総合計画の基本構想として、市議会の御理解を得ますとともに御議決をいただいて進めているところでございます。こうした中、このたびの
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、本市におきましては雇用と暮らしを守り、地域経済の基盤となる事業活動を守り抜くための経済対策の取組を、国や県の経済対策に呼応しつつ進めているところでございます。本市といたしましては、今後もこうしたウィズコロナの取組と第二次山口市総合計画における施策展開を一体的に進めてまいることといたしておりまして、令和3年度の予算編成方針におきましても、ウィズコロナの取組としての豊かで安心できる暮らしの実現とともに、好影響・好循環のまちづくりの実現とSociety5.0の実現を図ってまいりますことで、
新型コロナウイルス感染症をはじめとする社会の変化にも柔軟に対応可能な、本市における新たな日常の構築を目指すことといたしているところでございます。議員御案内の地域内循環経済による危機にゆとりを持って対応できる強い地域経済づくりの考え方につきましては、市域内のひと・モノ・資金・情報を市域内で循環させることで強い地域経済づくりを進めるという考え方であろうかと存じますが、今後の人口減少時代を見据えます中で、県都として求心力のある都市づくりを進め、県央部の人口60万人から70万人の広域経済・交流圏など、圏域内で経済循環を図ってまいりますことが、より強い地域経済づくり、そして本市全体の発展にもつながってまいるものと考えているところでございます。こうした中で、本市の社会基盤整備を進めるに当たりましては、産業交流拠点施設をはじめとした大規模なプロジェクトにおきましても、山口市ふるさと産業振興条例の趣旨を踏まえまして、一定の地元事業者の受注機会の確保を図ることで地元事業者の人材育成や技術力の向上などにつなげますとともに、地域内における経済循環を図っているところでございますので御理解を賜りたいと存じます。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 大田たける議員。
〔26番 大田たける議員登壇〕
◯ 26番 大田たける議員 2回目です。るるお聞きしましたけれども、第二次山口市総合計画というのは、コロナ前に策定されたものであってコロナのコの字もないわけです。それをそのまま、このまま進めていっていいのかという視点であります。コロナショックの教訓として、先ほど申しましたように人と物の流れが止まってしまうということを経験したわけです。それを、県央中核都市づくりを進めるということで、関係人口、交流人口を増やしていくということですけれども、これはコロナ前の考え方であって、これからは、それが果たして通用するのかどうかということがまだ検証されている途中──まだコロナ禍でありますから。でも、コロナ前の考えをそのまま進めてしまう。私は、それでは今後いろいろな歪みが出てくるのではないかと思っております。例えば、大型開発といえば、思いつくのは新山口駅の開発なのですが、今、産業交流拠点施設もスケジュールどおりに来年3月ですか、供用開始という方向でお聞きしておりますけれども、この施設に関してもコロナ前に計画されたものがそのままスケジュールどおりに進められています。それで、新たなコロナ対策の追加費用まで発生しているわけなのです。維持管理といえば毎年約4億円、毎年約4億円もかけて維持管理していくというものであります。4億円もあればいろいろなことできるのではないかと私も思うのです。例えば、ぱっと考えただけでも、市内を走らせていますコミュニティバスを新たに7路線増加することもできます。コミュニティタクシーについても21地域全部に公費で賄うことができます。先ほど、尾上議員からもありましたタクシーチケットの増刷も十分できます。こども医療費の自己負担分の無料化──高校卒業まで所得制限なしで行う場合の財源にも使えます。給食費無料化の財源にも使えます。農家の皆さんの所得補償、価格保証、これにも十分使える、余るぐらい使えます。市内事業者の支援の財源にも使えると思います。こういったものが、毎年一般財源で4億円もこれから発生してしまうという状況は、私は一度立ち止まって考え直す必要があると思うのです。そういう意味で、このたび地域内の経済を強化する方向で考え直してくださいということでお伺いしております。改めて一度立ち止まって、なんならもう総合計画をもう一度見直しするぐらい考えてもいいのではないかと思うのですが、お考えを伺いします。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 田中総合政策部長。
〔総合政策部長 田中和人君登壇〕
◯ 総合政策部長(田中和人君) 危機にゆとりを持って対応できる強い地域経済づくりについての2回目の御質問にお答えします。先ほども申し上げましたけれども、コロナ前に策定したとはいえ、第二次山口市総合計画につきましては、今のコロナ禍にあっても進んでおります少子高齢化社会、また人口減少時代、そういったものに対応できるような強いまちづくりを進めていくという形の中で策定をしておりまして、コロナの対策については対策で、このウィズコロナに対するものについても一体的に進めていくというようなまちづくりの進め方をしようとしているところでございます。産業交流拠点施設について、いろいろな御意見がございましたけれども、広く高次都市機能を提供することで、いろいろな人材育成もこれからできてきますし、そういった人材が、また山口市の将来をつくっていくことにもつながってまいりますので、そういった面からも広い圏域といいますか、そういった中でのまちづくりといいますか、いろいろな経済の資源を活用して、将来のまちづくりにつなげてまいりたいというふうに考えて、今のまちづくりを進めておりますので御理解を賜りたいと思います。
以上でございます。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 大田たける議員。
〔26番 大田たける議員登壇〕
◯ 26番 大田たける議員 予算編成方針にはウィズコロナとうたってあるわけですので、産業交流拠点施設も、今後、コロナのためにイベントを開けなかった、コロナのために人が集まりませんでした、コロナのせいで目標を達成できませんでしたということがないように注視していきたいと思います。
次の質問に移ります。ケアに強い地域づくりについてです。9月議会では、日本では医療・介護・障害福祉・保育などケア労働──命を守る労働が軽視されている状況を御案内いたしました。今回は、その分野の行政サービスについてお伺いします。中項目1)国民健康保険です。この間、新型コロナ感染症への対応として、被用者を対象とした傷病手当が制度化されていますが、対象者が限定的だと考えます。被用者だけでなく、フリーランスを含め個人事業主も対象とするよう制度を拡充すべきと考えますがいかがでしょうか。中項目2)後期高齢者医療保険です。現在、窓口の自己負担割合が1割の被保険者について一定の所得以上の被保険者を2割に引き上げる検討を政府が開始したという報道がありました。この間、特別減免を9割から7割へ改悪し、所得減免を5割から2割へ改悪されています。さらに、2年の改定ごとの保険料、毎回引き上げによって被保険者の保険料は年々負担が重くなっている状況があります。保険料を決定する山口県後期高齢者広域連合議会へ市としての意見を述べる必要があると思いますが、いかがでしょうか。被保険者の苦しい状況を軽減することを求めるためお伺いいたします。中項目3)介護保険です。現在、来年度から3か年を計画期間とする第八次山口市介護保険事業計画の改訂が進められています。執行部説明会でも御説明がありました。介護保険料の設定も含めた介護保険事業に関する計画となります。令和元年度決算審査では、令和元年度末の基金残高が約18億円となっており、全国の状況を山口市の介護保険運営に当て込むと約7億円も多い保有だということが分かりました。次期計画では、こうした基金を繰り入れて介護保険料を引き下げるよう求めますが、市のお考えをお伺いいたします。中項目4)の高齢者福祉です。山口市では高齢者福祉の充実を図るため、3つの老人憩の家、寿泉荘・嘉泉荘・潮寿荘を整備されています。かつての兼行市長の時代に遡ると、当時の総務委員会が熊本県玉名市にある立願寺温泉を利用した老人憩の家を視察され持ち帰り、総務委員会の総意として当時の兼行市長に要請をしたことにより、まず最初に寿泉荘が造られたと議事録で確認しました。このときから、全ての校区ごとに老人憩の家を造っていこうということを見通して北部と南部を順番に造っていこうということになって、続いて嘉泉荘ができたそうであります。3つ目は、今度は北部ということで宮野の温泉を利用しての憩いの家ということで進んでいたそうですが、人口定住の助成制度を活用し一般利用もできるふれあい館に変更し、設置されたということであります。今度は南部ということで二島に潮湯を利用した潮寿荘ができたという経緯があることを確認しました。当時は1か所に集中投資などという発想はなく、中央部に造ったら今度は北部と南部と、市民のために市域全体を見通しての設置を考えていた様子がよく分かります。当時の諸先輩方の強い思いを深く感じるわけであります。その後、兼行市長が退陣されるとともに校区ごとに造っていこうという計画は飛んでしまったようであります。当時の先輩議員は、福祉が強化こそされ、後退してはならないときであるとして、それまで取り組んできた老人憩の家の伝統をきちっと守って前進させることを強く求めておりました。そこで寿泉荘の問題があります。現在、多世代交流・健康増進拠点施設において更新する計画でありますけれども、嘉泉荘・潮寿荘について、なくなってしまうのではないかという心配の声を市民の方からお聞きしております。市内3つの老人憩の家が整備された経緯、今再確認したわけですけれども、寿泉荘を含む老人憩の家の継続を強く望みますが、今後の存続更新について市の見解をお伺いいたしまして1回目の質問といたします。
◯ 議長(
坂井芳浩議長)
中川健康福祉部長。
〔
健康福祉部長 中川 孝君登壇〕
◯ 健康福祉部長(中川 孝君) 私からは、ケアに強い地域づくりについての御質問にお答えいたします。まず、国民健康保険についてでございます。本市国民健康保険におきましては
新型コロナウイルス感染症の感染、または発熱などの症状があり、感染が疑われることにより会社等を休み、事業主から給与等の支払を受けられない被用者に対しまして、傷病手当金を支給する制度を設けております。本制度の目的は、
新型コロナウイルス感染症の感染拡大抑制のため、感染が疑われたり、判明した被用者が会社を休みやすい環境を整えることとしておりまして、支給対象期間については本年9月30日までとしておりましたが、国の財政支援の期間延長に伴いまして、令和3年3月31日まで延長することといたしております。傷病手当金の申請状況につきましては、市報や市ウェブサイトで周知に努めておりますものの、現在までのところ申請はない状況でございます。議員御提案のフリーランスや個人事業主の皆様への対象拡大につきましては、全国一律の制度として国による新たな財政措置により実施されるべきものと考えておりますことから、国の基準に準じて傷病手当金を支給することといたしております。なお、傷病手当金の支給対象者の拡大や支給対象額の増額等につきましては、本年11月12日に全国市長会において決定されました国への提言にも盛り込まれておりますことから、今後ともその動向を注視してまいりたいと考えております。次に、後期高齢者医療保険についてでございます。議員御案内のとおり、近年行われた保険料の軽減特例見直しや、2年ごとの保険料率の改定による保険料の上昇の中、国では自己負担割合が1割の被保険者について一定の所得以上の方を2割に引き上げる具体的な検討を進められているところでございます。現在、我が国の高齢化が急速に進み、団塊の世代が全て後期高齢者に移行する令和7年には高齢化率は30%となり、全高齢者数に占める後期高齢者の割合は約6割にも上ることから医療費の大幅な増加が予測されているところでございます。また、山口県の令和元年の高齢化率は全国3位の34.3%となっており、75歳以上の高齢者の人口も年々増加しているところでございます。一人当たりの医療費は近年横ばいで推移しておりますものの、今後は後期高齢者数の伸びとともに増加するものと予測されているところでございます。後期高齢者医療制度に係る費用につきましては、公費が5割、現役世代からの保険料が4割、被保険者からの保険料1割で賄われているところでございます。全ての団塊の世代が75歳以上となる令和7年以降、支え手となる現役世代人口が減少する中、後期高齢者医療制度を持続させながら現役世代の負担軽減を図っていくため、国において医療制度の見直しが行われているところでございます。こうした背景の下、山口県後期高齢者医療広域連合におかれましては、県内被保険者約24万人の保険者として安定した制度運営を行い、安心して医療を受けていただけるよう保険料の改定等を行われているところでございます。なお、保険料の改定の際には、前年度の剰余金や財政安定化基金を活用され、被保険者の負担軽減に可能な限り努められておられますほか、広域連合議会開催前に医療専門職や学識経験者、被保険者等12名で構成される高齢者医療懇話会において保険料を含め幅広く議論されているところでございます。本市といたしましては、この懇話会の状況等も踏まえ、制度の安定的な運営が図られますことを念頭に保険料改定に対する考えを整理し、広域連合議会で示してまいりますとともに、国に対しましては、被保険者の負担軽減が図られますよう、全国市長会を通じて、保険料の上昇を抑制する措置を継続し、国の責任において十分な財政措置が講じられますよう要望してまいる考えでございます。次に、介護保険についてでございます。議員お尋ねの
介護保険制度における保険料につきましては、介護保険事業計画の3年度を単位とした計画期間ごとの介護保険事業の費用を賄うために、介護給付費等の見込額から国、県の負担金や交付金等を差し引いて算出し、徴収するものでございます。また、介護給付費準備基金につきましては、計画期間を通じて同一の保険料を徴収いたしまして、計画期間終了時に剰余金が生じた場合には、次期計画期間に歳入として繰り入れ、保険料に充当できるものでございます。本市におきましても、準備基金を活用し介護保険料を設定いたしているところでございますが、ここ数年、給付実績額が計画よりも低く推移し、準備基金残高が増加している状況でもございます。現在策定を進めております第八次山口介護保険事業計画では、被保険者数の伸びによる需要の増加のほか、高齢化の進展に伴い必要性が高まる医療的ケアにも対応が可能な定期巡回・随時対応型訪問介護看護等の地域密着型サービスの施設整備を進めることといたしており、介護給付費等が今後も増加すると推計しているところでございますが、現在のところ、次期保険料につきましては、準備基金を充当すること等により現行の保険料基準額を上回らないものと見込んでいるところでございます。今後、国から12月末ごろに示される予定の介護報酬の改定や介護保険料算定の諸係数等を踏まえまして、介護給付費等の見込額を精査した上で、次期介護保険料を設定してまいりたいと考えております。次に、高齢者福祉についてでございます。議員御案内のとおり、市内に3施設ございます老人憩の家は、60歳以上の高齢者を対象に教養の向上、レクリエーション等のための場を提供し、心身の健康の増進を図ることを目的として寿泉荘を昭和49年、嘉泉荘を昭和50年、潮寿荘を昭和56年にそれぞれ開設いたし、長年市民の皆様に御利用いただいてきたところでございます。議員お尋ねの、今後の老人憩の家の存続・更新についてでございます。まず、寿泉荘につきましては、多世代交流・健康増進拠点施設整備基本計画に基づき、あらゆる世代が利用できる多世代型の温浴機能として更新し、全世代の市民が気軽に快適に利用でき、市民の日々の健康づくりや癒し、リフレッシュにつながる整備を進めます。次に、嘉泉荘及び潮寿荘につきましては、令和2年3月に策定いたしました市公共施設等総合管理計画個別計画において施設の老朽化等から期間内検討と位置づけており、令和11年度末までの計画期間内において、今後の在り方を検討してまいることとしており、両施設につきましては、心身の健康の増進が図られますよう適切な運営に努めてまいりたいと考えております。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 大田たける議員。
〔26番 大田たける議員登壇〕
◯ 26番 大田たける議員 各種保険については、社会保障でありますから被保険者の負担ではなく、公費でぜひ負担していただきたいと思います。
次に、大項目ウ、多世代交流・健康増進拠点施設についてお伺いします。この間、本計画の検討経緯には根拠がないということはこれまで御案内のとおりです。上位構想には全く想定されておらず、関係する協議体でも本計画の発想すらない中、突然市から提案された経緯があります。9月議会で明らかになったのは、公共施設等総合管理計画の中で、今後は既存施設の更新も財政的に厳しいとしておきながら、廃止の方向の山口市児童文化センターと同じ敷地に、新しく公共施設を建設するという無計画性です。さらに、市の地域子育て支援拠点事業の中で、湯田地域の拠点施設となる山口市児童文化センターで事業されている団体も、ここから追い出される形で、現在、次の施設を探して奔走されている状況があるということが分かりました。寿泉荘の更新についても、他の老人憩の家──潮寿荘や嘉泉荘とともに協議されるべきはずですが、多世代交流・健康増進拠点施設の計画の中で寿泉荘の更新だけが協議され、更新としながら寿泉荘としては存在がなくなり、温浴機能だけが多世代交流・健康増進拠点施設の中に入り、管轄も変わるため、現在の担当課としては、料金を今までどおりに求めたいがという心苦しい答弁があったということがわかりました。本計画では、不特定多数の1,500人を呼び込むイベントを想定しており、
GoToトラベルなどで感染拡大を引き起こされている現状を見れば、どのような状況を引き起こすか明らかであります。さらに、10月7日の報道のとおり、7月7日から9月29日にかけて多数の感染者が確認されている陸自朝霞駐屯地での教育課程訓練に鑑みると、感染源とされる私的なバーベキューにも参加して感染していた事案があります。野外とはいえ、立食形式やバーベキューでもクラスターとなる可能性は否定できないことが証明されています。このことから、市民の憩いの場として公園整備をしてはいかがでしょうか。かつ避難場所となる防災機能を備えた公園にしてはどうかと考えますが、市の見解をお伺いします。避難場所は必要です。今年の巨大台風接近の際、地域交流センターが即いっぱいになったということを教訓にすべきであります。身体的距離を保つため床面積が必要となります。温浴施設の料金設定についてですが、500円と想定されていますが、現状の寿泉荘の60歳以上100円を維持すべきと考えますが、お考えをお伺いします。9月の委員会審査で、高齢者福祉の後退という誤った認識を理由に、多世代利用の料金のため割引設定をしないという答弁がありました。また、湯田地域の再開発を優先し、値上げ反対のアンケート回答など小異は捨てるということかということについても否定はされなかったことから、改めてお伺いします。隣接する居住区域と商業区域への民間投資を期待するという答弁がありましたが、年間目標をどの程度見込んでいるか具体的なお示しください。また、本計画により交流人口を30年前の100万人台へ回復させることを目標にされていますが、平成3年頃の当時は、なぜ多かったのか、そこから減少した原因は何か、分析をされたのかお伺いします。当時は合併もしていないわけですし、湯田地域に大規模な箱物というものも存在しなかったと思います。そういうことからお伺いします。本計画策定に当たり、市民ワークショップを5回開催されていますが、各回の参加状況についてお伺いします。だんだん減っていたというふうにお伺いしております。市民の意見を広く聞いたということでありますけれども、参加者の意見が本計画のどの部分にどのように反映されているのか、具体的にお示しください。
1回目の質問といたします。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 田中総合政策部長。
〔総合政策部長 田中和人君登壇〕
◯ 総合政策部長(田中和人君) 多世代交流・健康増進拠点施設整備についての御質問にお答えいたします。本年10月に策定いたしました多世代交流・健康増進拠点施設整備基本計画における施設機能につきましては、温浴・健康機能、交流機能、附帯機能の3つの機能としての基本的な整理をいたしたところでございます。具体的には、温浴・健康機能につきましては、山口市老人憩の家寿泉荘を建て替え、全世代型の温浴施設として更新いたし、また交流機能につきましては、半屋内や屋内などの多目的スペースを基本とした整備を行い、さらに附帯機能といたしまして、飲食スペースや駐車場・駐輪場を整備いしたしてまいりたいと考えております。こうした中、本施設は公共施設として、災害発生時には避難場所として利用することも想定されるところでございまして、浴室・休憩室・大屋根広場や芝生広場、多目的室・飲食施設・駐車場などの各機能が整備をされた本施設は、屋外公園などへの避難と比べ避難場所としての防災機能が向上した形になるものと考えております。こうしたことから、本施設を整備いたしますことで平時には施設利用を通じた交流とにぎわいの創出がなされ、災害発生時には避難場所としての機能発揮が図られますことから、湯田地域交流センターの増改築や雨水排水対策などの周辺整備と併せまして、一連の整備を推進してまいりたいと考えておりますので御理解を賜りたいと存じます。次に、利用料金についてでございます。御案内のとおり、公共施設の使用料につきましては、施設サービスを利用することにより利益を受ける方に、その受益に応じた御負担をしていただいているものでございまして、その設定に当たりましては、施設を利用する方としない方との公平性を確保することが重要となるものでございます。こうした中で、本市におきましては使用料・手数料の設定に関する指針を定めておりまして、このたび整備いたします温浴施設につきましても、この指針を踏まえ、適切な利用料金を新たに設定する必要があるものと考えているところでございます。こうした基本的な考え方の下、他施設の利用料金の状況つきましては、現在、本市における全世代型の温泉施設でございます島地温泉ふれあいセンター、ロハス島地温泉の利用料金は520円、そして願成就温泉センターの利用料金も同じく520円でございまして、そのいずれもが高齢者に限定した利用料金は設定をしていないところでございます。また、県内を含む全国の公共日帰り温泉におきましては、おおむね400円から600円までの利用料金を設定されている施設が多いこと、また、温浴サービスの競合を懸念するお声をいただいております湯田温泉における同様の民間日帰り温泉におかれましては、おおむね400円から900円までの利用料金を設定されているところでございますので、こうした状況も踏まえまして本施設における利用料金の検討をいたし、本年2月の素案におきまして、大人500円程度を想定することをお示ししたところでございます。なお、寿泉荘の利用者アンケートにおきまして、新たな施設においても100円の利用料金を望まれる御意見に対しては、本施設につきましては老人憩の家の高齢者の保養、休養などの場としての機能提供を引き継ぎますものの、新たな温浴施設として整備いたしますことで、浴室面積の増加やバリアフリー対応といった機能が向上することなども踏まえまして、御理解を賜ることができますよう努めてまいりたいと考えております。また、こうしたことからも、年間パスポートの導入でありますとか、健康づくりの企画事業などにおける限定的な利用料金の設定などにつきましても、引き続き検討してまいりたいと考えているところでございます。次に、民間投資額の具体的な目標数値についてでございます。御案内のとおり、基本計画では本施設の施設整備計画と、県道204号北側の整備をはじめといたしました湯田温泉ゾーンの市街地再生の具現化に向けた周辺整備方針、この2つの柱で整理をいたしております。こうした本施設整備や周辺整備などを通じまして、豊かで快適な住環境や、魅力的な都市空間の形成を図り、居住エリアにおきましては、集合住宅の建設などの民間投資の促進を通じた定住人口の増加、また、温泉街エリアにおきましては、飲食店や宿泊施設等の民間投資の促進を通じた交流人口の増加を図ることといたしておりますことから、本施設や周辺整備の成果を図る目標数値につきましては、民間投資額ではなく、施設利用者数、湯田温泉を利用した市民の割合、湯田地域等の定住人口を掲げているところでございますので御理解を賜りたいと存じます。また、湯田温泉の交流人口が、平成7年以降減少が続いていた原因といたしましては、いわゆるバブル経済後におきまして、団体旅行が減少し、個人旅行や小規模規模グループ旅行が増加していったという旅行需要の質的変化への対応が、湯田温泉をはじめ全国の観光地における課題であったというふうに認識をいたしております。あわせて、湯田温泉の公共空間における都市基盤整備の継続的な更新や再生整備が進んでいなかったことによる都市基盤の老朽化も、観光客が減少していく原因であったと捉えておりますことから、平成22年から県道204号南側を中心に湯田温泉駅前の一体的な整備を始め、足湯の整備、各通りの修景整備や湯田温泉観光回遊拠点施設「狐の足あと」の整備など、個人旅行客などの来訪増加につながるような都市基盤整備を進めてまいりました。こうした原因分析をいたし、都市基盤整備に取り組みました結果と湯田温泉の関係者の皆様の並々ならぬ御努力によりまして、交流人口が90万人台まで回復をしているものと考えているところでございます。次に、市民ワークショップなどの意見の反映についてでございます。基本計画の策定に当たりましては、基本設計前の早い段階から市民の皆様に施設整備に関する御意見をいただくことが重要であるとの考えから、令和元年9月から令和2年8月まで、全5回の市民ワークショップを開催いたしました。参加者数は延べ107人で、10歳代から80歳代までの幅広い世代の皆様に御参加いただいたところでございまして、各回の参加人数につきましては、第1回が36名、第2回が25名、第3回が24名、第4回は本年3月に開催する予定としておりましたが、
新型コロナウイルス感染症の影響により市民の皆様にお集まりいただくことが困難となりましたことから、4月に書面により御意見を伺う形で41名の方に資料を郵送いたし、9名の方から御意見を頂いたところでございます。また、第5回は13名の方に御参加をいただきました。あわせて、基本計画策定に際しまして湯田地域における関係団体や関係者の方との協議を計29回、市民温泉の整備に関する市民アンケート調査を約2,000名に実施いたし、加えて寿泉荘の利用者アンケートを76名にさせていただくなど、市民ワークショップをはじめとし様々な手法を通じて、市民の皆様の御意見を幅広くお聞かせしていただいたところでございます。頂きました多くの御意見、御提案つきましては、基本計画における事業展開イメージとして整理をいたしており、市民温泉をはじめ地域イベントや市民イベントが開催しやすい快適な場づくり、市民等の日常的な利用可能となる取組、健康づくりの場としての活用などといった事業展開が可能となるような温浴・健康機能、交流機能、飲食スペースなどの附帯機能といった基本的な機能整備をいたしまして、基本計画に反映をいたしましたところでございます。
以上でございます。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 以上で、大田たける議員の一般質問並びに質疑が終わりました。
32番、野村幹男議員。
〔32番 野村幹男議員登壇〕
◯ 32番 野村幹男議員 県都創生山口の野村幹男でございます。質問通告に従いまして、質問してまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。
まず、文化財行政についての質問をいたします。本市では第二次山口市総合計画に沿って、各部門の施策に取り組まれているところであります。その計画の中の重点プロジェクト5に、あらゆる世代の方々が、山口の暮らしの豊かさやまちへの誇りを実感できるよう、多様な地域資源に磨きをかけて、新たな価値の創造や新たな交流・対流を創出し、各地域や本市全体としての個性が際立つ都市戦略の取組を進めるとあります。また、本年度策定されました山口市文化創造ビジョンの中でも、文化政策を取り巻く社会環境として触れられております。平成30年6月に改正をされました文化財保護法及び地方教育行政の推進に関する法律で、文化行政全体としての一体性やまちづくり等に関する事務との関連性を考慮し、教育委員会が所管する文化財の保護の事務を、条例により地方公共団体の長が担当できるようになったとあります。本年度、教育委員会では山口市歴史文化基本構想を作成し、多彩な山口の宝を知り、生かし、未来へ伝えるとの基本理念で、市内にある多くの歴史資源を紹介されております。詳細な調査をされ、大変完成度の高い興味深い内容となっております。この内容のように市内21地域には数多くの多様な歴史と文化財があります。多様な地域資源に磨きをかけ、地域の人々へ地域の宝を再認識してもらうことはもちろんですが、山口市を文化の香り高い、誇れる文化都市として広く市外へもPRし、まちづくりの活性化につなげていくべきと考えます。そこでお尋ねをいたします。今回の文化財保護法の改正により、文化財を保護の対象の観点だけでなく、積極的にまちづくりの資源としてさらなる活用をしていくべきと考えますが、本市において今後の文化財保護と文化財を活用したまちづくりについて、どのようにお考えかについてお尋ねをいたします。次に、中項目2)の史跡周防鋳銭司跡についてお尋ねをいたします。今議会の初日、市長による概況報告でも触れられました1973年──昭和48年になりますが、国指定となりました周防鋳銭司跡──大分発言はしやすくなりましたが、周防鋳銭司跡でございます。この発掘の成果と今後の活用についてお尋ねをいたします。文化庁のデータベースでは、これまで昭和41年と昭和46年から47年に発掘調査がされ、大量のふいごの口、るつぼ、土器、木器、木簡、鋳損じ銭を含む銅銭、古瓦片の他、倉庫群、井戸、炉の跡や推定工房遺構などが検出され、平安時代初期のものであることが確かめられた。2回の発掘調査によっても、まだ鋳銭司の全貌が明らかになったとはいえないが、本遺跡は文献上確かめられる5か所の官営鋳銭司の中で、学術調査によってその所在・規模等が確認され、古代国家の経済機構を貨幣鋳造機関の構成と機能、並びにその変遷から解明し得る可能性を持つ重要な遺跡である、とあります。これまでも、山口市としても重要な遺跡であるという認識はあったとは思いますが、発掘調査は昭和47年以来、約50年間されておりません。私も、地元はもとより山口市全体の重要な宝である史跡周防鋳銭司跡の保存・活用については、平成22年3月議会でも質問したところでございます。当時の答弁では、遺跡の重要性は十分に認識されておりましたが、3万8,000平方メートルという広さがある遺跡全体の公有化を優先し、その後、保存管理計画・整備計画に基づく整備を行うとの答弁でございました。なかなか保存・整備計画の進捗はありませんでしたが、このたび平成28年──2016年になりますが、山口市と山口大学が中心となり、平成28年9月20日に文化庁において、文化庁、県の教育委員会、山口大学、山口市教育委員会の4者協議が行われ、鋳銭司・陶地区文化財総合調査として事業が開始されました。事業開始に合わせ、周防鋳銭司発掘50周年「古代テクノポリス鋳銭司・陶-これまでとこれから」と題して、多くの考古学や遺跡発掘に関わりのある大学教授の方々による講演など、本遺跡の重要性を再認識することとなった記念シンポジウムが平成29年3月4日に山口市南総合センターで開催されました。これがそのときの資料でございます。詳しい学術的な内容も、十分中に記載されておりますので、関心がある方はぜひ御覧いただけたらと思います。天長2年──825年になりますが、この地に周防鋳銭司が設置された当時は、現在の陶、鋳銭司地区は一体のものとして周防鋳銭司だったと考えられています。当時の陶地区は、周防鋳銭司で製造したお金を貯蔵していた銭庫などの施設や、須恵窯で焼き物の生産を行い──土師器・須恵器らが出たようでありますが──須恵器でありますとか、さらに、当時とすれば国内で最高級でありました釉薬を使った緑釉陶器の製造も行われていたようであります。それらの陶器は、官営の鋳造所に派遣をされていた役人の食器や接待の器にもなっていたようであります。このような須恵窯跡も30基──これは県内最大ということでございますが、窯群としてお金を鋳造していた鋳銭司・陶地区は、当時で言えば、先端工業地帯であり、古代テクノポリスと表現される由来となっていると思います。発掘開始以来、今日まで6次にわたる発掘調査が行われ、大変重要で大きな成果があったものと認識をしております。特に、周防鋳銭司で製造されていたと言われる皇朝十二銭のうち長年大宝銭と全国初の発見となりました承和昌宝の2種類の鋳損じ銭と大型建物跡の発見があり、発掘調査の現地説明会も11月1日に開催されました。そのときの説明資料でございますが、これが、鋳損じ銭の発見されました承和昌宝──赤いところが発掘されたというところでございます。2種類の2枚の鋳損じ銭が出たということでした。それと、これはイラストになりますが、これは周防鋳銭司跡ではございませんが、こういう形で官営の鋳造所が設置されていたであろうということで、この部分の右横になりますが建物跡の柱が今回、このような形と同様の形で発掘をされているということでございます。それと、その遺跡の中でこのような作業をされていたのではないかということでございます。これらのもうちょっと詳しい内容につきましては、鋳銭司にあります郷土館のほうにもしっかりと展示をしてありますし、今、お金を作る体験もできるようでもございます。その郷土館には益次郎関連の展示もたくさんございますので、館長がおられましたら、しっかり説明いただけると思いますので、110円をしっかり握って行っていただければと思います。私も現地で説明を受けました。1,200年前、当時の建物の中で、人々の仕事に励む姿や息遣い、また周辺の様子や建物の姿が時空を超えて目の前に現れるような大変貴重な体験をさせてもらいました。地表からわずか深さ1メートルほどの地下に、当時の建物の柱跡や薪や炭で銅を溶かし、銭の鋳型に流し込んだであろう姿が、まぶたに映り込む思いでございました。1,200年間流出することなく出土した遺構を見つめますと、1,200年前の姿を、我々に語りかけてもらっている思いでありました。これからは、この遺跡・遺構を次代の人々に残し、語り継いでいく役割が我々にあると強く感じました。そこでお尋ねですが、今回の発掘調査の成果と今後この鋳銭司・陶地区に広がっている遺構をどのように保存・活用されるのかについてお考えをお尋ねいたします。現在の史跡指定地は、年2回程度の草刈りと説明板が1枚設置してあるという現状であります。今後は、今回の発掘の成果を現地で学べるような施設の検討も含めて、今後のまちづくりにもつながるような活用方法についてお尋ねをしまして、この項の1回目の質問といたします。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 礒部教育部長。
〔教育部長 礒部素男君登壇〕
◯ 教育部長(礒部素男君) 野村幹夫議員の文化財行政についての御質問にお答えいたします。まず文化財保護法改正についてでございます。文化財保護法の改正につきましては、地域における文化財について、まちづくりに活用する視点を踏まえつつ文化財の継承の担い手を確保し、地域全体で文化財の保存・活用に取り組んでいく体制づくりの推進を目的としたもので、地域における文化財の計画的な保存・活用を推進していくことが示されているものでございます。議員御案内の文化財に関する事務につきましては、本市におきましては教育委員会が所管しております。ただし、文化財の活用につきましては、文化財そのものの価値の顕在化や発信、それらを担う人材の育成を教育委員会が担当し、それらを地域振興や観光振興に生かす取組については市長部局が担当しているところでございます。こうした国の方針を受け、本市におきましては、市内に存在する多様な文化財を保存・活用し継承するため、また、歴史文化を生かしたまちづくりに資するために、本市における文化財保護のマスタープランである山口市歴史文化基本構想を令和2年3月に策定いたしました。また、今年度からは構想に定める取組を着実に進めるため、計画期間や期間中に行う具体的な取組を定めた文化財保存活用地域計画の作成を、学識経験者、商工・観光関係団体の代表や地域代表並びに市長部局の関係部署と意見交換を行いながら進めているところでございます。今後の方向性といたしましては、本計画に基づき、市民、地域、団体、所有者及び行政といったそれぞれの主体が協働して情報発信の充実、地域の魅力向上に向けた取組、保存・活用に関わる担い手の育成等の取組を実施することにより、各地域における文化財が、わがまちの宝として後世に正しく継承されていくとともに、地域の特色や魅力の一つとして地域活性化へとつなげていけますよう、市長部局とも連携を図りながら取り組んでまいる所存でございます。次に、史跡周防鋳銭司跡についてでございます。御案内のとおり、周防鋳銭司は平安時代に周防国に設置された官営の銭貨鋳造所でございまして、天長2年──西暦825年から11世紀初めごろまでのおよそ200年間、鋳銭司・陶地域一帯において存続し、稼働期間中はほぼ全国唯一の官営鋳銭所として銭貨生産を行ったとされております。その存続期間の長さ、鋳造した銭種及び銭貨枚数の多さは、他の鋳銭司と比べ卓越しており、古代貨幣史上、また、古代国家の経済の仕組みを知る上で重要な遺跡でありますことから、昭和48年に約3万8,000平方メートルが国の史跡に指定されております。指定後は、長らく発掘調査に着手できずにおりましたが、平成27年度に古代テクノポリス山口の解明と銘打った、山口大学、鋳銭司・陶地域、本市協働による調査の話が持ち上がり、平成28年度から鋳銭司・陶地区文化財総合調査事業を開始いたしました。史跡の発掘調査は、平成29年度から令和2年度までの4か年の計画で山口大学と協働で実施いたし、炉跡やふいご羽口といった鋳造に関わる遺構・遺物や、銭貨鋳造を裏づける承和昌宝銭及び長年大宝銭の鋳損じ銭の出土や大型建物の確認という大きな成果を上げることができました。鋳損じた承和昌宝銭の発見は全国初であり、文献資料だけでなく考古資料からも周防鋳銭司において承和昌宝銭を鋳造していたことを裏づけるものとして、銭貨生産活動を知る上で大変重要な発見となりました。また、大型建物は、直径1メートル、深さ60センチメートルの柱穴が約3メートル間隔に並び、南北18メートル以上、東西6メートルの規模を持つもので、史跡内における大型建物跡の確認は今回が初めてのことでございまして、周防鋳銭司が官営の銭貨鋳造所であるとの一端を示す重要な遺構でございます。発掘調査以外にも山口大学や関係機関、地域の方々の御協力を得て、周防鋳銭司の解明のために様々な分析を実施しているところでございます。また、地域の皆様に向けましては、周防鋳銭司の銭貨生産や発掘成果について紹介する講座、実際に出土品の整理作業を体験していただく移動整理室及び小学生による発掘体験を行いました。さらには、市民の皆様をはじめ全国の方々に向けまして、シンポジウム、講演会、現地説明会及び発掘速報展を開催し、多くの皆様に御参加いただいたところでございます。以上のように、多くの成果が得られた史跡周防鋳銭司跡の発掘調査でございますがまだ調査は始まったばかりでございまして、調査面積は史跡指定面積の1割にも満たないものでございます。また、史跡周辺にも関連遺跡が分布すると考えられますことから周防鋳銭司の全体像の解明には、さらなる調査が必要であると認識いたしております。今後の取組といたしましては、令和3年度から2か年で史跡の今後の保存・活用の方向性を示す保存活用計画を策定し、計画に基づき調査を進めることとなりますが、そのためには、引き続き地域の御協力並びに山口大学との調査、研究面での連携が不可欠と考えておりまして、今後も3者の連携の下、事業を進めるべく調整を図ってまいります。また、史跡の本格的な整備には長期間を要しますことから、まずは説明施設の設置や遺構の暫定的な復元などを行うことで、現地で本史跡の価値を体感していただき、貴重な文化財である周防鋳銭司跡を地域の宝として守り、継承していく機運の高揚につながるような取組を進めてまいりたいと考えております。さらに、この貴重な文化財を地域の方々や子供たちが学習することによって、自らの地域に対する誇りや愛着がさらに深まり、将来、この周防鋳銭司跡を活用したまちづくりにつながるよう市長部局とも連携を図りながら事業に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 午後1時10分まで休憩いたします。
────────────・────・────────────
午後3時29分再開
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 休憩前に引き続き会議を開きます。
7番、竹中一郎議員。
〔7番 竹中一郎議員登壇〕
◯ 7番 竹中一郎議員 山口維新の会の竹中一郎でございます。通告に従い、一般質問をさせていただきます。
最初に保育所の待機児童ゼロに向けた取組について質問させていただきます。本市の保育所の待機児童数については、第二次山口市総合計画の成果指標の中間目標値として令和4年に解消するとされており、教育・子育てなら山口としている本市において早期に達成されるべき政策目標であると認識しております。そうした中で、令和元年10月1日から幼児教育、保育の無償化が実施されたことから、子供の人口減少が見込まれる中にあって保育サービスに対するニーズはより高まっていくと思っております。現在、コロナ禍におきまして、世帯収入が減少する中で、少しでも収入を確保しようと共働きを希望する世帯も増えているのではないかと感じております。保育所を利用する、保育所を利用したいと思われる御家庭はますます増えていくのではないかと考えられます。本市の待機児童数は令和2年4月時点で5名となり、数字上は待機児童の解消まであと一歩のところまできています。また、令和4年まで私立保育園の新設、増設等による定員の拡大を図るとともに、認定こども園への移行及び地域型保育事業の新設、公立保育園の定員拡大等により保育の提供体制の確保を図り、待機児童を解消しますとされています。しかしながら、こうした数字上の達成度だけを見るのではなく、預ける保護者の皆様が保育の内容について満足されているのか、子供を預けやすい環境にあるのかといった視点が重要であり、そのことによって働きやすい環境が生まれ、ひいては山口市の経済に貢献するような状況になっていくのだと思います。そこで質問いたします。今後のさらなる保育サービスのニーズの高まりが予測される中で、待機児童の解消に向けた現状の取組をお伺いいたします。また、待機児童の解消を早期に達成した後は、子供の推計人口は減少傾向にある中で、保育の需要量と供給量のバランスを考慮した保育提供体制の確保が必要になってくると考えますが、どのように対応されようとしておられるのかお伺いいたします。
以上で、1回目の質問を終わります。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 楳本こども未来部長。
〔こども未来部長 楳本美由紀君登壇〕
◯ こども未来部長(楳本美由紀君) 竹中議員の保育所の待機児童ゼロに向けた取組についての御質問にお答えいたします。まず、待機児童の解消に向けた現状の取組についてでございます。近年、子供の人口は減少しておりますが、保育サービスに対するニーズは高まっており、保育所への入所希望者数は年々増加しているところでございます。平成28年度から令和2年度までの5年間の状況でございますが、未就学児童数につきましては、平成28年4月1日の1万63人から令和2年4月1日には9,128人となり、935人減少しておりますが、保育所への入所希望者数につきましては、3,435人から4,112人となり、677人増加しているところでございます。待機児童数につきましては、平成29年4月1日の92人をピークに年々減少しているところでございまして、令和2年4月1日には5人となっております。この間に、全年齢型保育所の新設や既存保育所の増設、認可外保育所の認可保育所への移行、幼稚園の認定こども園への移行により、1,094人の定員拡大を実現してきたところでございます。また、国が主導する待機児童解消に向けた緊急的な取組といたしまして、定員の弾力化による受入れを実施いたし、施設面、人員面の条件が整う施設につきましては、基準の範囲内で定員を超えた児童の受入れに協力をいただいているところでございます。本年5月には、全年齢型保育所1施設の新設、さらに、来年3月までには既存の保育所4施設の増設により161人の定員拡大を実施するところでございまして、令和3年4月1日の待機児童につきましては、保育所への入所希望者数の増加が見込まれる状況におきましても解消できるものと期待しているところでございます。次に、待機児童解消後の保育の需要量と供給量のバランスを考慮した保育提供体制の確保についてでございます。今後、引き続き子供の人口は減少傾向にあるものの、ゼロ歳児から2歳児の保育ニーズにつきましては徐々に増加する傾向にございます。こうした中での保育所の定員拡大につきましては、市内を7つの区域に分けた令和6年4月1日時点における年齢ごとの保育を必要とする量の見込みに対する定員数の不足を予測し、定員拡大を実施していくことといたしております。定員拡大に向けた具体的な方法につきましては、今年度は、民間事業者からいただいた定員拡大の意向に対しまして、山口市保育施設整備検討会議での審議を踏まえ、定員拡大が過剰になることが予測される区域では事業を見送りとさせていただき、複数の意向がある区域では山口市保育所等施設整備実施施設選定委員会におきまして定員拡大を実施する事業者を選定することといたしております。今後につきましては、区域ごと、年齢ごとの定員数の過不足を踏まえました定員規模を改めてお示しした上で、事業者に対しまして意向をお聞きすることといたしているところでございます。また、長期的には5年後、10年後の子供の人口の動向を見据え、待機児童解消後の市内の幼稚園・保育園の持続的、安定的な施設運営に資するため、配置バランスや定員バランス等を考慮し、公立幼稚園・保育園の再編統合による認定こども園化を検討してまいりたいと考えております。将来的な私立園と公立園の保育サービスの役割は、保育のさらなる質の向上に重点を置きまして、例えば、私立園におきましては特定のニーズに特化した特色のある園、公立園におきましては中山間地域等、周辺地域における保育ニーズの受け皿や緊急的な保育ニーズに対応する一時預かり、障がい児保育の充実等、多様な保育ニーズに応える園が考えられるところでございます。今後の保育の需要と供給のバランスを十分踏まえながら、山口市らしい幼稚園、保育園の在り方について慎重に検討してまいりたいと考えております。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 竹中一郎議員。
〔7番 竹中一郎議員登壇〕
◯ 7番 竹中一郎議員 現在策定中の第2期山口・小郡都市核づくりマスタープラン、そのうち山口都市核の山口駅の重要性について質問させていただきます。私は、昨年12月の本会議において、山口都市核と小郡都市核の一体性を持たせることの重要性とともに、一方で、その間の距離が13キロメートルある、これを埋めるのはたやすいことではないと指摘をさせていただいております。それに対し、両都市核間を結ぶバスや鉄道は比較的充実しており、バスロケーションシステムや移動手段をひとつのサービスとしてスマホ等で検索・予約・決済までできるようにするMaaSの構築等でより利用しやすいものとしていく旨の答弁をいただきました。今後、全国的に人口が減少し、また、今回のコロナ禍の中で、テレワークという新たな働き方が急激に普及し、こうした情報通信技術を活用したライフスタイル、ビジネススタイルの定着により、人の移動が減少することが予測されます。私が危惧をしておりますのは、それでも交通事業者の今のビジネスモデルが今後も継続できるのか、ひいては両都市核間を結ぶ充実した移動手段が今のまま将来も維持できるのか、ということであります。どれだけ今の移動手段を維持できるのかは未知数であり、ましてや都市核間の一体性を生み出すために、さらに便数や路線等を充実させるための投資をしていくことは非常に難しいのではないかと考えております。そこで、9月に示された山口・小郡都市核づくりマスタープランの骨子案において両都市核間を結ぶ交通軸──交通軸を都市軸とされ、主要幹線道路、山口宇部道路、鉄道となっております。道路の中にバスも含まれるということだとは思いますが、ともすれば20年後もまずはマイカー、そしてバスや鉄道も併せて考えていく、そのようにもとれる表現となっているわけであります。このマスタープランにとって、これから20年にわたる都市軸をどのように考えていくか、これは非常に重要な要素だと考えております。都市軸にバスを位置づけ、交通結節点を含め県道204号線沿いを中心とした核づくりをしていくのか、またはJR山口線を位置づけ、山口駅を中心として核づくりをしていくのか、さらにはマイカーを中心として戦略的な駐車場の配置をしていくのか、それが残念ながら今のところ読み取ることができません。現在、JR山口線については行き違い施設の設置による便数の増便も含めた充実や、交通系ICカードの導入を求める声もありますが、そのような莫大な費用の係る投資を、民間の鉄道事業者が現状を前提として行うことは非常に難しいのではないかと考えております。一方で、つい先日、山口駅前の山口県林業会館が建て替えられまして、コンビニエンスストアが開店しております。それだけで山口駅前ににぎわいが生まれ、利便性も高まったと感じているところであります。こうした中で、私はやはり山口都市核への企業誘致、外部からの交流人口を増やすことを考えると、山口駅周辺の開発を進めていく中で中心市街地の定住人口を増やし、山口駅、そしてJR山口線の利用者を増やしていく、そのような施策展開を図って、ひいては交通事業者による設備投資を促していく、そのことが重要なのではないかと考えております。また、プランの計画期間が20年ということであれば、自動運転などの技術の進歩も織り込みながら、バスと鉄道、そして何よりマイカーが、互いに移動需要を取り合わないような施策展開の方向性を出してもよいのではないかと考えております。そこで質問いたします。都市核づくりマスタープランの山口都市核のうち、中心市街地における都市軸としてJR山口線及び山口駅の重要性をどのように捉えておられるのか、そのお考えを伺います。あわせて、山口駅の利用向上につながるような周辺整備について、現時点での方向性あるいは考え方についてお伺いいたします。
以上で、1回目の質問を終わります。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 田中総合政策部長。
〔総合政策部長 田中和人君登壇〕
◯ 総合政策部長(田中和人君) 山口・小郡都市核づくりマスタープランにおける山口駅の重要性についての御質問にお答えいたします。御案内のとおり、本市におきましては山口と小郡の2つの中心的な都市核を有するという都市構造の中で、山口都市核と小郡都市核とが互いの個性や特長を高め合う好影響・好循環の対流型のまちづくりを進めているところでございます。こうした両都市核の連携や対流をさらに高めていくに当たりまして、第2期山口・小郡都市核づくりマスタープラン骨子案におきましては、山口都市核と小郡都市核を東西に結び、両都市核や本市全体の人の交流や経済活動などを支える交通軸である国道9号、県道204号、JR山口線を都市軸として位置づけたところでございます。また、山口都市核内においては、この3本の都市軸が東西に並行する形で通っております中で、この3本の東西の都市軸を南北方向の交通軸でつないでいくことでラダー型の、いわゆるはしご型の交通網を形成いたし、山口都市核内に位置づけております亀山周辺・中心商店街ゾーンや湯田温泉ゾーンをはじめとした5つのゾーンの対流を促進していく姿を描いているところでございます。なお、この3本の都市軸を行き交う主な交通手段といたしましては、自動車、鉄道、バスの3つがございまして、それぞれの移動人数といたしまして、まず、自動車につきましては、平成27年度の全国道路・街路交通情勢調査における国道9号朝田付近の交通量を参考に、両都市核間を自動車で移動している人数を推計いたしましたところ、少なくとも年間で1,000万人以上でございました。また、鉄道につきましては、平成30年度に両都市核間を移動している人数は、年間約190万人、さらに、バスにつきましては、同じく年間約55万人と推計したところでございます。こうした結果から、現在自動車による移動が圧倒的に多いものの、公共交通による両都市核間の移動におきましては鉄道が大きな役割を果たしており、バスにつきましては両都市核間の公共交通の移動という点に限っては補完的な役割を担っているというところでございます。したがいまして、両都市核間を結ぶ公共交通といたしましては、大量輸送が可能で道路渋滞に影響されない、定時性を有するなどの点で、鉄道のJR山口線が都市軸において重要な交通手段であるとの認識をいたしているところでございます。また、鉄道は輸送量当たりの二酸化炭素排出量が最も少ない移動手段でございまして、環境意識の高まりやその運賃の安さなどを踏まえますと、JR山口線の潜在的な利用者を掘り起こす余地は大きいものと考えているところでございます。本マスタープランの骨子案では、JR山口駅がございます亀山周辺・中心商店街ゾーンにつきまして、東西南北の4つの拠点を結ぶ十字型のにぎわい交流軸を設定いたし、東側の拠点としては山口井筒屋やマルシェ中市の周辺、西側の拠点としてはコープどうもんの周辺、北側の拠点としては新本庁舎の周辺、そして南側の拠点としては山口駅の周辺を位置づけておりまして、この十字型のにぎわい交流軸を中心に交流、滞留、オフィス、教育・人材育成機能などの都市機能の集積強化を図ってまいりたいと考えております。さらに、山口駅につきましては、中心市街地の玄関口として通勤や通学、買い物などをされる市民の皆様、また、観光客やビジネス客などといった市外の皆様など多くの方に利用されておりますと同時に、山口都市核から中山間地域などの本市の北部エリアのほか、防府市や津和野町などといった近隣市町への移動を支える交通結節機能を有しているところでございます。こうしたことから本マスタープラン骨子案におきましては、山口駅を亀山周辺・中心商店街ゾーンの南側の拠点として、また、山口都市核の交通結節点として重要な位置づけをいたしているところでございます。議員御案内の山口駅の利用向上につながるような周辺整備といたしましては、現在、県道厳島早間田線から県道山口秋穂線──いわゆる山口駅通りのバリアフリー化と併せた修景整備につきまして、県と調整を進めておりますほか、今後はバスやタクシーなどの二次交通への乗り換え機能の強化につながる取組について検討してまいりたいと考えております。さらに、こうした駅の周辺整備に加え、亀山周辺・中心商店街ゾーンの中心的なエリアにつきましては、自動車の流入を抑制し、安全で快適な歩行空間を創出することといたしておりますことから、日常生活における移動手段の軸足を自動車からJR山口線やバスなどの公共交通に一定程度シフトしていく必要もあるというふうに考えております。いずれにいたしましても、令和2年度中の成案化に向けまして、本マスタープランの策定を進めてまいります中で、山口駅の利用向上につながるような取組などにつきましても、引き続き検討してまいりたいと考えております。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 竹中一郎議員。
〔7番 竹中一郎議員登壇〕
◯ 7番 竹中一郎議員 山口都市核における駐車場施策について質問させていただきます。我が国では高度経済成長期のマイカーブームの到来により、自動車交通需要に対応するため、駐車場への土地利用転換が進んだ結果、多くの地方都市において、町なか沿道空間の多くが駐車場で占められ、まちの魅力低下を招き、市街地への民間投資が減退し、低未利用地の発生と駐車場への転換という負のスパイラルの発生が懸念されております。このため、国においては、平成30年度にまちづくりと連携した駐車場施策ガイドラインとして、駐車場の量的供給や配置の適正化を図る駐車場整備施策の指針が示され、令和元年度には、いわゆるウォーカブル推進都市の取組「居心地が良く歩きたくなるまちなか」から始まる都市の再生を掲げられ、都市の中心部においては、自動車交通を中心としたまちづくりから歩行者中心の都市空間へと再構築することが求められております。駐車場については本市においても、昭和40年代から50年代のマイカーブームを機に自家用車が急増し、交通混雑や路上駐車が社会問題化したことなどから、中心市街地エリア、湯田温泉エリアなどに大規模な駐車場が建設されております。これらが、増え続けてきた自動車交通需要や路上駐車などの社会課題の解決に寄与してきたことは認識しております。しかし、その後の社会経済情勢の変化と、それに伴う自動車保有台数の伸びの鈍化、まちの魅力低下による都市部における低未利用地の発生、車中心から人中心のまちづくりへの意識の変化、そして大規模駐車場の更新時期を迎える今後10年、今、まさににぎわいのあるまちの再生のために、駐車場施策そのものを見直す時期にきていると感じております。現在策定中の第3期山口市中心市街地活性化基本計画、改定中の山口・小郡都市核づくりマスタープラン、それぞれにおいても居心地がよく歩きたくなる町なか、その形成を中心課題として進められると伺っており、また、湯田温泉における多世代交流・健康増進拠点施設の整備に当たってもこの方向性は同様のものであると考えております。また、新本庁舎整備に伴う市営中央駐車場と併せた駐車場整備にあたっても、その必要性については十分理解をしているところであります。私としては、例えば、市役所を訪問された皆様方に中心商店街でお買い物をしていただきたい、市民会館で演奏会があったら、その周辺の飲食店で食事を楽しんでいただきたい、ましてや、多くの職員を抱える市役所では、そのまま御自宅にお帰りになる、これも大事なことです。ただ、たまには仕事帰りに買い物や食事、そういったアフターファイブを充実させていただきたい。そのようにイメージをしているところであります。このように新本庁舎・市民会館周辺エリアと中心市街地が一体となることが、居心地がよく歩きたくなる町なかの形成に向けた取組にとっても必要ではないかと考えており、このような意味で、中心市街地の民間駐車場との役割分担についても検討する必要があるのではないかと考えるところであります。私は幼少の頃、中心商店街の裏の天神通りというところにおりました。当時は、多くの飲食店が軒を連ね、下町情緒があふれて多くの人でにぎわっておりました。その後、車社会の潮流に飲み込まれ、駐車場が増えると、確かに利便性は増しました。それと引き換えに下町の魅力、にぎわいは薄れて失われていきました。子供の頃通っていた多くの店舗は、現在、解体をされて駐車場となっております。それは時代の流れだとはいえ失われていったものを取り返すのは簡単なことではないと感じておりまして、将来のまちづくりをしっかり考えることが大切だと思っております。そこで質問いたします。山口・小郡都市核づくりマスタープランの改定、第3期山口市中心市街地活性化基本計画の策定、これらの施策の推進における駐車場の在り方、また、今後迎える大規模駐車場の更新時期を見据え、駐車場の必要台数に加え、適正配置といった視点を持った山口市駐車場整備計画の見直しを行うべきだと考えますが、市としての見解をお伺いいたします。
以上で、1回目の質問を終わります。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 藤本都市整備部長。
〔都市整備部長 藤本浩充君登壇〕
◯ 都市整備部長(藤本浩充君) 山口都市核における駐車場施策についての御質問にお答えいたします。高度経済成長期における急速なモータリゼーションの進展に伴い、都市中心部における路上駐車の増加と道路混雑が社会問題となったことから、昭和32年に駐車場法が制定され、都市計画駐車場の整備や建築物への附置義務制度の創設などにより、全国的に駐車場の確保が進められてきたところでございます。山口都市核においても、昭和48年に中心市街地及びその周辺を駐車整備地区に指定いたし、山口市中央駐車場を都市計画に定めるとともに、山口市建築物における駐車施設の附置及び管理に関する条例を施行いたしたところでございます。また、平成13年には山口市駐車場整備計画を策定いたし、駐車場整備地区についても湯田温泉ゾーンまで広げまして、駐車場施策に取り組んできたところでございます。こうした取組によりまして、それぞれのエリアに大規模な駐車場が整備され、路上駐車の減少、都市部における円滑な交通環境の向上に寄与してきたものと認識いたしているところでございます。しかしながら、近年の人口減少局面、自動車利用ニーズの変化などから自動車保有台数の伸びが鈍化する中、駐車場施策も転換を迎えているものと言われており、また、都市の郊外化に伴う中心部におけるにぎわいの低下、それに伴う平面駐車場など低未利用地の増加によるさらなる魅力の低下といった悪循環も懸念されているところでございます。こうした課題を解決するため平成30年に国土交通省からまちづくりと連携した駐車場施策ガイドラインが示され、まちの将来像から都市空間の在り方、そのために必要な駐車場の量、場所、配置といったきめ細やかなコントロール、民間の多様な活動との連携といった様々な側面から駐車場施策を進める考え方が示されたところでございます。また、新たな取組として、国において町なかを車中心から人中心の空間へと転換し、人が集い、憩い、多様な活動を繰り広げられる場と改変し「居心地が良く歩きたくなるまちなか」を形成する、まちなかウォーカブルについての考え方が示されたところでございます。本市におきましても、国土交通省のまちなかウォーカブル推進都市に第一次募集の令和元年から参加いたしているところでございまして、まずは、新本庁舎の整備を進める亀山周辺ゾーン及び第3期山口市中心市街地活性化基本計画の策定を進める中心商店街ゾーンを中心としつつ、すでに歩行空間の整備を進めている大内文化ゾーンと連携しながら進めてまいることといたしているところでございます。こうした取組につきましては、本市の主要な移動手段が自動車によるものでございますことから、まちと車の接点である駐車場に関しましてもその配置や量について検討を行い、自動車でのアクセス性の向上に加え、駐車場から目的地まで安心して歩行できる空間の確保、あるいは、町なかのにぎわいに寄与するような歩行者動線についても併せて検討していく必要があるものと考えているところでございます。このようなことから、議員御指摘の山口市駐車場整備計画の改定に取り組むことといたし、今年度から現況調査に着手いたしたところでございます。改定にあたりましては、多世代交流・健康増進拠点施設整備を行う湯田温泉ゾーンを含めた山口都市核全体において、まちなかウォーカブルやまちづくりと連携した駐車場施策ガイドラインの考え方に加え、公共交通機関への転換や自動運転、次世代モビリティといった新たな技術の進展を見据えながら、重要な移動手段の一つである自動車の結節点として、まちのにぎわいを支え、人々の活動を育てるといった視点を持ち、関係機関や民間事業者の皆様と官民連携して検討してまいりたいと考えております。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 竹中一郎議員。
〔7番 竹中一郎議員登壇〕
◯ 7番 竹中一郎議員 最後に、認知症対策について質問させていただきます。我が国においては、平成24年で認知症の方は約462万人、軽度認知障害の方の約400万人と合わせると65歳以上の高齢者の約4人に1人が認知症、またはその予備軍とも言われておりました。団塊の世代が75歳以上になる令和7年には、認知症の方の数は約700万人に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症と見込まれております。こうした中、厚生労働省が令和元年6月に公表された認知症施策推進大綱では基本的な考え方として、認知症は誰もがなり得るものとして、身近なものになっていくことを示しています。そのために認知症の発症を遅らせ、仮に認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し、認知症の方や家族の視点を重視しながら共生と予防を車の両輪として、施策を推進していくこととされております。ちなみに、本市においては、山口市産業交流拠点施設のプロジェクトとして、認知症の発症を遅らせる取組と符合する形で島津製作所、山口大学等と連携して認知症の一歩手前の状態となる軽度認知障害の予防など、高齢者の健康づくり等をテーマとした地域コホート研究の取組をスタートされたことは一定の評価をいたしているところでございます。しかしながら、これだけ医学が発達をしても、明確な予防というのは難しいのではないかと考えております。つまり、誰もが認知症を発症することを前提とすれば認知症の方、特に重度の方を介護しながらの共生は大変な御苦労が伴っているのではないでしょうか。そこで質問いたします。本市においても高齢化の進展に伴い、認知症高齢者の増加が予想されます。そこで現在、第九次山口市高齢者保健福祉計画、第八次山口市介護保険事業計画の策定を進められておりますが、今後、認知症対策についてどのように施策を推進されるのか、特に、介護する方の負担を少しでも軽くし、笑顔で日常生活が過ごせるような取組やお考えがあればお伺いいたします。
以上で、1回目の質問を終わります。
◯ 議長(
坂井芳浩議長)
中川健康福祉部長。
〔
健康福祉部長 中川 孝君登壇〕
◯ 健康福祉部長(中川 孝君) 私からは、認知症対策についての御質問にお答えいたします。認知症は誰もがなり得るものであり、家族や身近な人が認知症になることも含め、多くの人にとって身近なものとなっています。御案内のとおり、国におきましては、高齢化の進展に伴い認知症高齢者数は令和7年には700万人に達すると見込まれておりまして、認知症の人ができる限り地域で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指し、認知症の人や家族の視点を重視しながら共生と予防の施策を推進していく認知症施策推進大綱を令和元年6月に取りまとめられたところでございます。本市におきましても、令和元年度の要支援・要介護認定者のうち、認知機能の低下がある高齢者は6,000人程度おられ、認知症対策は大変重要な課題と認識いたしております。そうしたことから、現在策定中でございます、第九次山口市高齢者保健福祉計画、第八次山口市介護保険事業計画に認知症施策推進大綱の共生と予防の視点を反映させることとし、基本施策に認知症対策の推進を掲げまして「認知症への早期対応・早期診断」と「認知症高齢者・家族への支援強化」の2つの取組を位置づけているところでございます。まず、認知症への早期対応の主な事業といたしましては、認知症予防普及啓発といたしまして地域に出向いて行う介護予防出張講座等を通じて、認知症予防や認知症の症状等、正しい知識についての理解促進を図ります。また、認知症になるのを遅らせる、認知症になっても進行を緩やかにするという予防の視点において、高齢者の社会参加による孤立を解消することや、社会的な役割を持つことが認知症の発症を遅らせる可能性が示唆されております。現在、運動機能の維持や転倒骨折予防を主な目的といたしまして、住民主体の活動が行われておりますいきいき百歳体操等の通いの場を認知症の予防の場としても増やし、活動が継続できますようリハビリ専門職等の派遣を行い、認知症予防を推進していくこととしております。早期診断につきましては、物忘れや認知症について心配があるときに、市民自らが早めに、気軽に相談できますよう、認知症に関する専用ダイヤル「もの忘れホットライン」や地域包括支援センターなどの相談窓口、受診先についての情報をリーフレットや市ウェブサイトを通じ周知してまいります。次に、認知症高齢者・家族への支援強化の主な事業につきましては、令和元年度の要支援・要介護認定者で認知機能の低下がある高齢者の約63%の方が在宅で生活しておられるなど地域の理解が重要となりますことから、認知症に関する正しい知識と理解を持って、地域や職域で認知症の人や家族を手助けする認知症サポーターの養成講座を継続して行い、年間1,000人を養成してまいります。また、同講座を受講された方の中から、実際に活動を行うオレンジサポーターを養成いたしまして、認知症カフェや認知症対応型共同生活介護──いわゆるグループホームにおいて、認知症の人やその家族の支援を行いますよう地域での活動の強化を図ってまいります。さらに、地域住民や医療、介護の専門職など誰もが気軽に集う認知症カフェにつきましては、現在、市内11地域において開設支援を行っております。今後は、認知症カフェで認知症の人が自らの思いを発信する機会をつくっていくことで、認知症に対する理解をより進め、認知症があってもなくても同じ社会で共に生きるという共生に向けた意識の醸成が図られる場として各地域への設置を目標に進めてまいります。家族への支援強化につきましては、昨年度実施いたしました在宅介護実態調査では、介護者が不安に感じる介護で最も多いものが認知症状への対応で、約5割の介護者が不安に感じておられることから、認知症学習会や介護されている家族への認知症状への関わり方、介護方法等の個別相談、家族会への活動支援を行ってまいります。また、認知症等による行方不明者を早期に発見する仕組みといたしまして、現在、ほっと安心SOSネットワーク事業を実施しておりまして、行方不明になる可能性のある方の情報を事前に登録し、協力事業所に行方不明者の捜索依頼があったときに御協力いただいております。今後、認知症高齢者の増加が予測されますことから、事前登録者や協力事業所を増やしていきたいと考えております。さらに、介護者の方の負担軽減を図るため、高齢者の方の靴や杖などにGPS端末を取り付けておくことで、スマートフォン等で行方不明時の現在位置が確認でき、早期発見につながるようGPS端末機器等の購入助成に新たに取り組むこととしており、令和3年度におきましては対象者や補助方法等を検討することといたしております。こうした認知症対策の様々な取組によりまして、認知症の人や家族が自分らしく元気に暮らし続けることができるまちを目指してまいる所存でございます。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 以上で、竹中一郎議員の一般質問並びに質疑が終わりました。
33番、伊藤斉議員。
〔33番 伊藤 斉議員登壇〕
◯ 33番 伊藤 斉議員 高志会の伊藤斉でございます。本日最後の登壇者になります。お疲れとは存じますが、最後までのお付き合いをよろしくお願いいたします。それでは、通告に従いまして一般質問を順次させていただきます。担当参与の皆さんの明快なる御答弁をお願いいたします。
まず、初めに消防行政のうち、ドローンの導入についてお尋ねいたします。本年7月、熊本県を中心に発生した集中豪雨に伴い、熊本県八代市や球磨村における救出活動や行方不明者の捜索活動を行うため、本市消防本部から緊急消防援助隊が出場されました。とりわけ、このたびの出場では、本年6月から新たに運用を開始された消防活動用重機が初めて災害現場に投入されたと聞いております。この重機の投入により、救出活動のための大量の土砂の排除など、活動効率が飛躍的に向上したとのことでしたが、一方で、災害現場に到着するまでには、大型の重機搬送車や重機がどこまで侵入できるのか判断に苦慮した場面もあったとの報告を伺ったところであります。このような災害現場においては、私はドローンによる上空からの情報収集が効果的であるのではないかと考えます。と申しますのも、平成30年秋に総務委員会の先進地視察として災害対応にドローンを導入しておられる静岡県焼津市に視察に伺いました。焼津市におかれましては、災害対策本部機能の強化と災害情報の見える化を推進するため、先進的にドローンを導入されるとともに操縦者も独自に養成され、上空からの災害現場の調査や情報確認のほか、道路、河川、離岸堤、橋梁などの調査、農道管理、土砂崩落確認など幅広い利活用が行われていました。視察では、実際に上空からの映像も確認しましたが、災害の規模や地形などが一目で確認でき、見える化の効果を実感したところであります。このようなことから、自然災害が猛威を振るう近年、本市で災害が発生した場合においても幅広い活用ができると感じているところであります。そこでお尋ねいたしますが、重機のさらなる有効活用や、本市における災害対応の強化に向けたドローンの導入について、どのように考えておられるのか御所見をお伺いいたします。
以上で、この項の1回目の質問といたします。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 田中消防長。
〔消防長 田中功夫君登壇〕
◯ 消防長(田中功夫君) 伊藤議員の消防行政についての御質問にお答えいたします。令和2年7月豪雨におきましては、本市から緊急消防援助隊山口県大隊として延べ12隊、40名の職員が熊本県の八代市や球磨村に出場し、行方不明者の捜索や救出活動を行ったところでございます。このたびの出場では、本市が本年6月から運用を開始いたしました消防活動用重機を初めて災害現場に投入いたし、家屋に堆積した土砂や活動に支障となる道路上の障害物の排除など、これまで主に人海戦術に頼っていた救助活動が迅速かつ効率的に行えたところでございます。議員御案内のとおり、こうした活動における課題といたしまして、災害現場は特定できているものの、そこに到達するまでの道路や周辺の被害状況が確認できない中で、大型の重機搬送車がどこまで進入できるか、また、重機を降ろす場所はあるかなど、情報の把握に時間を要した場面がございました。消防本部におきましては、これまでも情報収集機能の強化に向けたドローンの導入について研究を進めてきたところでございますが、特に、このたびのような土砂災害が広域的に発生している状況下において、ドローンの機動性を生かしたリアルタイムな映像情報の必要性を改めて認識いたしたところでございます。また、現在、本市におきましては、2か所の山上に設置をしております高所カメラや救助工作車に積載しております車載カメラのほか、活動する消防隊員が携行するスマートフォンのカメラ機能を利用した現場中継システムによる情報収集を行うなど、ICTを活用した取組を進めているところでございますが、このような既設の機能と機動性に優れたドローンを連携することにより、本市の災害対応における情報収集機能のさらなる強化につながるものと考えているところでございます。こうしたことから、ドローンにつきましては災害発生時の情報収集や消防活動用重機のさらなる有効活用を図るため、運用体制の整備と先進例を参考とした本市での幅広い効果的な利活用の方法なども併せまして、導入に向けた具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 伊藤斉議員。
〔33番 伊藤 斉議員登壇〕
◯ 33番 伊藤 斉議員 それでは、子ども・子育て支援策のうち、保育園での紙おむつの処分についてお尋ねいたします。保育園での紙おむつの処分については、現在、園によっては各保護者が持ち帰ることとされており、従来から、保護者が持ち帰り後に確認することで、子供の健康状態を管理することができるという一面があり、また、使うオムツの量が年齢とともに減ってくることで、子供が日々成長しているということを実感できるといった面もあると聞いておりますが、衛生面なども含め、今の時代には合っていないと考えております。前回質問した際、市におかれては、関係する環境部とも協議をされ、公立保育園においては園で処分する方向で検討しており、実施時期については、使用済み紙おむつの園での保管場所や容器の確保、私立保育園との調整などいくつかの課題もあることから、平成31年度からの実施に向けて調整しているとの御答弁をいただきましたが、その後の状況についてお伺いをいたします。
以上で、この項目1回目の質問といたします。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 楳本こども未来部長。
〔こども未来部長 楳本美由紀君登壇〕
◯ こども未来部長(楳本美由紀君) 子ども・子育て支援策についての御質問の、保育園での紙おむつの処分についてお答えいたします。現在、保育園での紙おむつの処分につきまして、公立保育園では、保護者の方に子供の健康確認のことも考え持ち帰っていただいているところでございます。全国的な保護者のニーズを受けまして、衛生面を考えた園での処分を検討いたしました結果、公立保育園におきましては、令和元年度の実施に向けて関係部局である環境部と協議を進めてまいりました。この過程で、改めて公立保育園の現状につきまして各園に確認いたしましたところ、園での処分におきましては、いくつかの課題が見受けられたことから現在まで実施には至っていないところでございます。主な課題といたしましては、1園1日当たりの使用済み紙おむつの最大処分量が、家庭用可燃ごみ袋の大きいサイズで5袋程度出るものと見込んでおりまして、保管場所の衛生管理に配慮が必要となり、保育園の現状を踏まえますと毎日の収集が望ましいところでございます。その場合、環境部による可燃ごみの収集の際に併せて収集する2回に加えまして、土曜日も含め残りの4回につきましては民間事業者に収集を委託することが想定され、新たな予算措置と収集体制の確保が必要になってまいります。一方、紙おむつの処分に関しまして、私立保育園におきましては、既に園で処分されておられる施設もございまして、市保育協会の中でも、この処分につきましては公立・私立も含め全園で統一した対応を望む声がある一方、各園におけるこれまでの経緯等も考慮すべきであり統一した対応は難しいとの御意見も根強く、調整は進んでいない状況でございます。現在、私立保育園へ給付される運営費につきましては、特に紙おむつの処分費用を算定されてはおりませんが、今後、運営費の中で加算できる仕組みづくりについて検討する必要があると考えており、国に対して、財源も含め要望していくことも考えているところでございます。いずれにいたしましても、紙おむつの処分につきましては、衛生管理上の対策や公立・私立保育園における対応の均衡性などの課題もあり、引き続き調整を図りながら、実施に向けて検討を進めてまいりたいと存じます。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 伊藤斉議員。
〔33番 伊藤 斉議員登壇〕
◯ 33番 伊藤 斉議員 それでは、行政財産の処分についてお尋ねいたします。旧仁保地域交流センターの土地建物は、現在の仁保地域交流センターが平成22年に供用開始された後、長年にわたり文化財の保管庫として使用されてきたところであります。当該地は仁保地域の中心部に立地しており、民間による土地活用、地域活性化の可能性をもった物件であると考えております。ついては、行政財産としての現在の使用状況や、現在保管している文化財の他の場所への移転等の適否を検証され、可能と判断された場合は、旧仁保地域交流センターを行政財産から普通財産に変更し、地域とも連携の上、地域の発展につながる用途に限定した売却方法などを検討することができないか、市の考えをお伺いいたします。
以上で、この項の1回目の質問といたします。
◯ 議長(入江幸江副議長)
宮崎総務部長。
〔総務部長 宮崎高行君登壇〕
◯ 総務部長(宮崎高行君) 行政財産の処分についての御質問の、旧仁保地域交流センターについてお答えいたします。まず、旧仁保地域交流センターにつきましては、平成22年に現在の地域交流センターが完成し機能を移転したことに伴い、平成23年から文化財資料の保管庫として使用することとなり、教育委員会所管の行政財産として管理を行っているところでございます。現在の使用状況といたしましては、旧仁保地域交流センターの建物の中に、発掘調査で出土した土器などの資料や、寄贈を受けた民具資料などを保管しているところでございます。このほか、敷地内にある倉庫につきましては、仁保自治会に対して使用許可をしておりまして、地域住民活動で使用される器具等の保管場所として利用されております。次に、公有財産管理の観点から申しますと、今後、仮に旧仁保地域交流センターを文化財資料の保管庫等として使用する必要がなくなり、ほかに行政財産として使用する必要もない場合には、行政財産から公共的な用途のない普通財産に変更し、管理することとなります。普通財産に関しましては、地方自治法におきまして売却等の処分が認められておりますことから、自主財源の確保を目的といたしまして、売却や貸付による有効活用を図ることといたしております。特に、立地環境等から民間の購入需要があると判断される物件に関しましては、速やかに売却する方針としており、その際の方法といたしましては、価格競争に基づいて、原則として一般競争入札の方法を採用いたしているところでございます。旧仁保地域交流センターにつきましては、議員御指摘のとおり、周辺には事業所や一般住宅が見受けられる仁保地域の中心地に立地しておりまして、主要な幹線道路へのアクセスも良好で、正方形の利用しやすい形状をしておりますことから、民間への売却の可能性はあろうかと思っております。また、売却方法に関しましては、本市の施策に合致し、地域の発展につながるような民間による土地活用が図られると判断される場合には、地域の皆様とも協議いたしまして、条件付きの売却方法なども検討できるものと考えております。いずれにいたしましても、まずは現在保管されている文化財等の移設先の確保や移設に係る費用、売却に当たって必要となる建物の解体費用や地下埋設物等の調査費用なども含めまして、検討してまいりたいと考えております。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 伊藤斉議員。
〔33番 伊藤 斉議員登壇〕
◯ 33番 伊藤 斉議員 それでは、農業行政についてお尋ねいたします。まず、トビイロウンカ等の被害対策についてであります。今年の水稲については、トビイロウンカの大発生による被害や台風9号及び10号による塩害が発生したことで、10月末に国が発表した作況指数は過去最低となり、本市を含む山口県西部の指数は67の不良となっております。このことにより、農家の生産意欲の減退による来年の水稲の作付が危惧されております。こうした中、本市の支援策として、水稲生産農業者支援給付金を補正予算として提出されたところであります。そこでお尋ねいたしますが、本事業の概要及び支給額の積算根拠についてお伺いいたします。次に、畜産振興への取組についてであります。本市の畜産農家におかれましては、高齢化や担い手不足などにより減少する中、昨今の
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、インバウンドや外食需要の落ち込みから子牛や枝肉の市場価格が低迷しており、畜産農家は大変厳しい状況に置かれております。この状態が続けば規模縮小や廃業が進み、本市の畜産業は深刻な状況に陥ることが推測されます。昨年6月の本会議において、阿東地域に限定されているあとう和牛増頭対策事業や、あとう和牛優良子牛生産促進事業を全地域に拡大する必要がある旨の質問をしたところ、経済産業部長の答弁は、どういった支援が有効かについて十分に考察を行う必要があるものと考えている、本市の畜産業が持続的に発展できるよう必要な支援策について検討していく、また、こういった制度の拡充についても早急に検討していきたいとのことでした。そこでお尋ねいたしますが、現状を踏まえ、今後、本市の畜産振興を図るためにどのような取組をされるのか、市の考えをお伺いいたします。
以上で、この項の1回目の質問といたします。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 村田経済産業部長。
〔経済産業部長 村田尚士君登壇〕
◯ 経済産業部長(村田尚士君) 農業行政についての御質問のうち、まず、トビイロウンカ等の被害対策についてお答えをいたします。御案内のとおり、本市の令和2年産の水稲栽培につきましては、トビイロウンカが過去に例のない規模で大量発生をいたしまして、阿東地域や徳地地域といった北部地域を中心に、坪枯れや全面枯れといった大きな被害が生じたものでございます。加えて、南部地域におきましては、9月に発生いたしました台風9号及び10号による影響を受けまして、広範囲にわたって農作物への風害や塩害といった被害が生じ、トビイロウンカの被害と重なりまして市内全域で大きな損失となったところでございます。こうしたことから、10月30日に中国四国農政局が発表されました山口県内の作況指数は、全国で最も低い73、とりわけ、本市を含む県西部につきましては67の不良と、統計を取り始めた1958年以降、過去最低の予測とされたところでございます。また、10アール当たりの予想収穫量も365キログラムとこれまでにない不作となったものでございます。こうした影響を受けまして、本市の水稲生産農家の皆様におかれましては、米の品質低下や収穫量の減少により農業所得が大きく減少したところでございまして、加えて、トビイロウンカの防除におきましても例年以上の多額の経費を必要とされましたことから、大変厳しい状況であり、農家の皆様の生産意欲の減退が危惧されているところでございます。こうしたことから、本市といたしましても、農家の皆様の生産意欲の向上と今後の経営の継続を下支えすることを目的といたしまして、被害を受けられました農家の皆様に対しましては、令和2年産の水稲作付面積に応じた支援制度、水稲生産農業者支援給付金制度を創設いたし、補正予算として本議会に議案を提出いたしたところでございます。支援の内容といたしましては農業所得が減少された農業者のうち、令和3年においても水稲生産を継続される方を対象として、50万円を上限に、令和2年産の作付面積10アール当たりに対して1,000円の支援金を給付するものでございます。お尋ねの支援金の算出根拠についてでございますが、トビイロウンカの異常発生に伴いまして、農家の皆様には、その防除費用が例年以上に必要となったところでございまして、10アール当たり2,000円程度の農薬代を追加経費として負担されていると試算しているところでございます。こうしたことから、水稲生産農業者支援給付金制度におきましては、農薬代の一部として、その2分の1に当たる、一律10アール当たり1,000円を支援金として給付することにいたしたところでございます。また、支援金の申請につきましては、1月下旬に農家の皆様に令和3年度水稲生産実施計画書──いわゆる細目書の配付に合わせまして、支援金の申請書を配付いたし、必要事項を御記入の上、申請していただくことといたしているところでございます。また、県におかれましては、次年度作付に要する種子の購入経費を助成する、やまぐち米次年度生産応援事業を創設することとされており、現在、本市におきましても、こうした県の施策と一体となった対応も検討いたしているところでございます。いずれにいたしましても、農家の皆様が生産意欲を持って農業経営を継続されますよう、県やJAとも連携しながら、引き続き効果的な支援策を講じてまいりたいと考えております。次に、畜産振興への取組についてお答えいたします。御案内のとおり、本市の畜産業を取り巻く環境は、従事者の高齢化や担い手不足、配合飼料を含めた生産資材の高騰など様々な要因により、畜産経営を進めていく上においては非常に厳しい状況が続いており、令和2年の畜産農家戸数は71戸で、平成27年と比較いたしますと16戸減少しているところでございます。また、今年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、外食産業の休業や国内外の観光旅行者の急減、学校給食の中止による牛乳や乳製品の需要の減少など、肉用牛や酪農の生産を行う畜産農家にとりましては、その経営継続において、さらに厳しさを増す状況となっているところでございます。こうした状況を踏まえまして、本市におきましては、
新型コロナウイルス感染症緊急経済対策第5弾におきまして、肉用牛や酪農の生産体制の維持を図り、畜産農家の事業の継続を下支えすることを目的として2つの支援事業を実施いたしたところでございます。まず、1つ目は、市内の繁殖農家から生産をされた子牛を肥育素牛として購入された肥育農家への支援といたしまして、補助率を100分の10から100分の20とし、補助の上限額を7万円から10万円に拡充いたしたところでございます。2つ目は、需要の減少による出荷時期の調整等に伴います必要経費の増加分に対しまして、令和2年7月1日に市内に牛を所有されている全ての農家を対象として、牛一頭につき1万円の支援を行ったところでございます。お尋ねの、今後の畜産振興に関する取組についてでございますが、本市の畜産農家のほとんどが家族経営でございまして、こうした比較的生産規模が小さい経営体を中心に規模の縮小や廃業が進むといった現状もございますことから、こうした中小規模の畜産農家の維持が喫緊の課題であると認識いたしているところでございます。このような現状を踏まえまして、今後は産地としての生産基盤と競争力の強化を図り、収益性を向上させる取組を行うことで、新たな担い手の確保に努め、あとう和牛や阿知須牛、徳地和牛といった既存の地域ブランドを維持・発展させてまいりたいと考えており、地域内一貫体制の確立を本市の畜産振興の柱として推進してまいる所存でございます。こうした方向性の中で、今後の本市のさらなる畜産振興を図るため、畜産農家が必要とされる実情に即した支援制度を、これまでの阿東地域のみならず全市域一律に実施できますよう、現在、JAや中部家畜保健衛生所などの関係機関とも情報共有を行いながら、令和3年度の当初予算編成作業の中で、具現化に向けた検討を行っているところでございます。現在、新型コロナウイルスの第3波により全国的に感染が拡大しつつある中で、
GoToトラベルの縮小やGoToイートの制限などが実施されており、再び外食産業や外国人観光客による消費の落ち込みにより、枝肉価格や子牛価格の下落が予測されますなど先行きが見通せない状況ではございますが、本市の畜産業が持続的に発展をし、次世代に受け継がれますよう、国や県の制度も活用しながら本市独自の支援策もしっかりと行ってまいる所存でございます。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 伊藤斉議員。
〔33番 伊藤 斉議員登壇〕
◯ 33番 伊藤 斉議員 それでは、トビイロウンカ等の被害対策について2回目の質問をさせていただきます。ただいまの部長の答弁で、給付金についての概要といいますか要点を簡潔に言いますと、防除費用の2分の1、1,000円を出すと、水稲作付面積に応じて10アール当たり1,000円とするということでした。そして、ほかに聞き及んでいるところでは、しかしながら10アール以下については切り捨てるとの話も聞き及んでおります。先ほどもありましたが支給額の上限は50万円ということでありました。本市は中山間地域もあり、ほとんどが小規模農家──いわゆる家族農家であります。小規模農家の耕作面積の平均は40アールから50アールの間ぐらいと聞き及んでおります。ということは、平均的な農家に対する、このたびの応援給付金は4,000円ということになり、例えば20アール弱の耕作面積の農家さんへの応援給付金は1,000円ということになります。それで、ある人がこう言っておられましたが、子供のお小遣いではあるまいしとのことでした。もちろん応援給付金がないよりはあったほうがよいわけですが、あまりにも金額が少なすぎると感じております。そこで、近隣の他市の事例を見てみますと、10アール当たり美祢市が2,500円、長門市が3,000円と聞いております。これを見ても少し金額が少ないのではないかと思いますが、このことに対する部長の思いをお伺いいたします。
以上で、この項の2回目の質問といたします。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 村田経済産業部長。
〔経済産業部長 村田尚士君登壇〕
◯ 経済産業部長(村田尚士君) トビイロウンカ等の被害対策についての2回目の御質問にお答えいたします。先ほど御答弁申し上げました水稲生産農業者支援給付金制度につきましては、トビイロウンカ等の被害を受けられました農家の皆様の生産意欲の向上と、今後の経営の継続を図ることを目的といたしまして、防除費用の一部を支援しようとするものでございます。その支援の額を、10アール当たり幾らにするかといった議論もあろうかと存じますが、一方では、水稲栽培におきましては、病害虫被害や自然災害によりまして減収となった場合には、国の保険制度といたしまして、収入保険制度が適用されることとなっております。また、一定程度以上の収入減となった場合には、水稲共済も適用されますことから、そういった制度と合わせながら、本市独自の支援策を検討していく必要があるものと考えているところでございます。しかしながら、議員御指摘のとおり、収入の激減といったものは、今後の農業経営の継続に対しまして影響を及ぼしますことから、現在の水稲共済の耕地一筆ごとに7割補償といった保険制度の見直しにつきましても、市長会を通じまして国に要望していくことも検討してまいりたいと考えているところでございます。また、先ほども御答弁申し上げましたが、県におかれましては、次年度作付に要する種子購入経費を助成するやまぐち米次年度生産応援事業を創設することとされております。こうした県の施策と一体となった本市の対応も検討しているところでございますので御理解を賜りたいと存じます。また、10アール未満の農業者の皆様には、1,000円を給付金として支援するように考えております。
以上でございます。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 伊藤斉議員。
〔33番 伊藤 斉議員登壇〕
◯ 33番 伊藤 斉議員 先ほどの質問の言い方が悪かったのかも分かりませんが、10アール未満の方は1,000円が給付されるのですが、例えば19アールの場合、切り捨てで1,000円ですと、大体、中山間でそんなに20アールも30アールもなく、少ないところが多いのだから、切り捨てで1,000円、2,000円ということになると言いたかったので、ちょっと言い方が悪かったので申し訳ないです。トビイロウンカについて3回目の質問をさせていただきます。今年の作況指数は、全国、全都道府県の中で最低でありますし、調査が始まって以来過去最低というのは部長もおっしゃられました。それほど今回の被害は、農家にとって大変なわけでございます。ましてや、現在コロナ禍においては、ダメージは本当に相当なものになります。新型コロナウイルスの影響を受けた農家に、1世帯当たり2万円を支給するという県内の他自治体の事例もございます。また、本市では
新型コロナウイルス感染症経済対策として、商工業振興対策事業費としてプレミアム商品券であったり、家賃補助、店舗改修等に約16億円も注ぎ込まれております。よく農業は本市の基幹産業だとおっしゃられますが、その割には冷たい仕打ちのように思われてなりません。そこでお尋ねいたしますが、このたび、上程された補正予算議案を第1弾と捉えられ、第2弾、3弾と支給額の上乗せを検討されてはいかがでしょうか。御所見をお伺いし、この項の3回目の質問といたします。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 村田経済産業部長。
〔経済産業部長 村田尚士君登壇〕
◯ 経済産業部長(村田尚士君) トビイロウンカ等の被害対策についての3回目の御質問にお答えいたします。今回のトビイロウンカ等の被害につきましては、議員から御案内もございました作況指数に表れておりますとおり、統計を取り始めて以降、過去最低の予測とされておりまして、市といたしましても大変重く受け止めているところでございます。こうしたことから、農家の皆様の生産意欲の向上を目的といたしまして水稲生産農業者支援給付金制度を創設いたしまして、支援をいたそうとしているものでございます。また、県におかれましては、やまぐち米次年度生産応援事業を創設することとされておりますことから、こうした県の施策と一体になった本市の対応も現在検討しているところでございます。今後も、農家の皆様の生産意欲の向上が図られますよう、取組を進めてまいる所存でございますので御理解を賜りたいと存じます。
◯ 議長(
坂井芳浩議長) 以上で、伊藤斉議員の一般質問並びに質疑が終わりました。
本日の一般質問並びに質疑はこれをもって終了いたします。
以上で、本日の日程は全て終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。再開は明9日午前10時であります。
午後4時55分散会
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地方自治法第123条第2項の規定によりここに署名する。
議 長 坂 井 芳 浩
副 議 長 入 江 幸 江
会議録署名議員 桜 森 順 一